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相続のいろは第8回|こんな時は弁護士に相談しよう②

「相続のいろは」シリーズでは,遺言書から裁判手続きまで,相続に関わる法律の紹介や,弁護士がお手伝いできることなど,相続に関するお役立ち情報をお届けしています。
今回も前回に引き続き,実際に当事務所に相談いただいた中から解決事例としてご紹介できるケースを2つお話したいと思います。

ケース① 施設に入所している方の遺言書を作成した事例
ケース② 相続税の申告後,遺産分割を成立させた上で,特例を使って税金の払戻しを受けた事例

ケース①施設に入所している方の遺言書を作成した事例

相談前
高齢者介護施設に入所している父から,遺言書を作りたいと言われました。
父は外出が難しく,どのようにして遺言書を作ったらよいかわからなかったため,弁護士さんに相談しました。

相談後
遺言書は公正証書にした方がよいが,父が公証役場に行くことは難しいので,公証人に施設まで来てもらうことを,弁護しさんから提案いただきました。どのような遺言書を作りたいか,あらかじめ父から聞き取ってくれ,それを文章にまとめて資料をつけた上で公証役場とやりとりをしてくれました。遺言書作成当日は公証人の方が施設に来てくれて,無事に父の遺言書を作成することができました。

一つ目のケースは,高齢者施設入所者による遺言書作成についての相談です。
遺言書を考えるということは,ある程度お年を召している可能性が高いですから,病院に入院していたり,今回のご相談のように介護施設などに入所していたり,そういった方のご家族からのご相談というのも多いです。
自筆証書遺言といって直筆の遺言書であればどこでも作成することはできますが,遺言書のご相談に来られた多くの方の場合,公正証書遺言をおすすめしています。

そのような時はぜひ弁護士に相談していただきたいのです。
公正証書遺言を作成するには,通常は公証役場に行かなければならないのですが,こういったケースのために,公証人に出張してもらうことができます。
今回も入所中のお父様は公証役場に出向くことが難しかったため,弁護士が公証人とやり取りをして,公証人に来てもらい,弁護士と同席で本人の意思を確認して無事に作成をすることが出来ました。
遺言書の内容についても,実際に出張をして本人と面談をする前に,弁護士の方でどのような遺言書を作りたいのか,ご本人のご要望を丁寧に聞いて遺言書の内容に反映させながら,弁護士と公証人の先生で相談しながら遺言書を作成します。
また,今回のご相談で遺言書を作成されたお父様は少し話すことに不自由がありましたが,公証人の先生との面談の際にはしっかりと筆談の準備もして,遺言者の方の意思を伝えられるようにしました。
遺言書とひとことでいっても,色々な種類があります。作り方に不備があると,お亡くなりになっていざ遺言書を執行しようというときに無効になってしまうこともありますので,遺言書作成は自己流で作成するのではなく,私たち弁護士に相談していただくのが安心だと思います。

ケース②相続税の申告後,遺産分割を成立させた上で,特例を使って税金の払戻しを受けた事例

相談前
同居していた母が死亡し,母名義の家とその敷地について私と妹と弟の間で遺産分割をしなければならなかったところ,弟が弁護士を依頼して遺産分割の申込みをしてきました。その提案内容が不平等だと思い,弁護士さんに相談しました。

相談後
弁護士さんは,裁判所に遺産分割調停の申立てと寄与分を定める処分の申立てをしてくれました。相続税の申告もお願いしました。弟は遺産を独り占めしたかったようで,裁判は長くかかりましたが,最終的に土地建物を売却したお金で妹と弟に代償金を支払うことで調停が成立し,私も売却代金と寄与分を足した金額を受け取ることができました。弁護士さんが特例を使って修正申告をしてくれた結果,相続税も全額戻ってきました。

要するに「ご兄弟からの遺産分割の提案に納得がいかない」という場合です。
このケースはやや複雑でして,「相続税の話」「寄与分の話」が関わってきます。ご相談いただいた依頼者の方は亡くなったお母様と同居しており,自宅で介護をしていました。
そのため今回は「寄与分」を主張することにしました。寄与分というのは,亡くなった方の財産の維持又は増加について特別の貢献をした相続人に対して,相続分以上の財産を取得させる制度です。
そこでこのケースでは,裁判所に遺産分割調停の申立てと寄与分を定める処分の申立てをしました。
さらに,相続税の申告もすることになりました。
最終的には不動産を売却したお金を依頼者の妹さんと弟さんに支払うことで調停が成立し,さらに寄与分も認められました。
また,特例を使って税金の修正申告をした結果,相続税も戻ってきました。
相続税の場合,小規模宅地の特例等(※)を使うと,税金が大幅に削減できるのですが,遺産分割では,解決まで長く時間がかかることがあり,これらの特例を使うことができなくなってしまいます。

(※)小規模宅地等の特例とは
一定の要件に当てはまる土地を相続した際、その一定面積まで、相続税の計算をする際の評価額を50%または80%減額できるという、相続税法上の特例制度です。原則として相続税の申告期限(被相続人の死亡から10か月後)までに遺産分割を済ませて税務署に申告書を提出する必要があります。しかし、裁判が長引くなどして期限を過ぎてしまう恐れがある場合、今回のように、提出期限を延長できる手続きをします。


それを避けるために,申告時に「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」を行っておく必要があります。
さらに,3年内に分割できない場合は「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」税務署に提出しておく必要があるのです。
遺産分割調停では,税金も考慮に入れた代償金額を提案し,最終的には,その案で調停を成立させることができました。
結果として遺産分割調停成立後,不動産を売却した上で相続税の修正申告を行い,相続税は全額戻り,譲渡所得税の申告では居住用資産譲渡の特例を使ったため,ほとんど税金を納めずにすみました。

相続の疑問は専門家に相談しましょう

以上のように,特例があること,期限を延長できることなどもなかなか知らない方も多いかと思います。
やはり相続や税金のことで少しでもわからない・不安なことがある場合は,はやめに弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
必要に応じて税理士さんなどとも連携してワンストップで解決が可能ですので,ぜひご相談ください。

相続に関するお悩みはありませんか?

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相続(遺言書作成を除く)に関するご相談は,初回法律相談料1時間まで無料でお受けしております。
まずはお気軽にご相談ください。

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