ブログ

相続のいろは第7回|こんな時は弁護士に相談しよう①

「相続のいろは」シリーズでは,遺言書から裁判手続きまで,相続に関わる法律の紹介や,弁護士がお手伝いできることなど,相続に関するお役立ち情報をお届けしています。
今回は,実際に当事務所に相談いただいた中から解決事例としてご紹介できるケースをいくつかお話したいと思います。

ケース① 先妻のと遺産分割が成立した事例
ケース② 海外で行方不明になった兄弟との間で遺産分割が成立した事例

ケース①先妻の子と遺産分割が成立した事例

相談前
夫がマンションを残して亡くなりました。
夫には先妻との間に子どもがいましたが,会ったことがなく,どこにいるかもわかりません。
マンションを売りたかったのですが,夫名義であったため,先妻の子と遺産分割をしない限り売ることができないと不動産屋から言われてしまいました。

相談後
先妻の子が他県に住んでいることがわかりました。
相続を希望するのであれば,夫が長年病気療養していた間に私が支出した費用や葬儀費用を分担していただきたいと弁護士さんからご連絡したところ,先妻の子は財産を相続しないことで遺産分割合意をすることができました。

一つ目のケースは,亡くなった夫が再婚で,先妻との間に子どもがいた場合の相続問題です。
実際に離婚して再婚されて,前の配偶者との間に子どもがいるというケースは決して珍しくありません。
そして今回のように,親本人と子どもとの間であればもしかして連絡をやり取りしていた可能性もありますが,再婚した方にとっては親戚関係にあるわけでもありませんし,仲良くするというケースはほとんどないかもしれません。
ですので、今回のケースであれば,夫が亡くなってしまった以上,その先妻との子どもとの連絡手段が一切ない,という場合もあるでしょう。
先妻と子どもがいることさえ亡くなって戸籍をたどるまで知らなかった!というケースもあります。
戸籍をたどって相続人を調査するということは,もちろん役所に行けば本人でも戸籍は取り寄せることができるのですが,問題は以前にもお話しした,遺産分割の条件は「相続人全員の合意」が必要ということなのです。
この条件は法律で決まっていて,原則として必ず必要なので避けて通ることができません。
しかし,ご自身で調査をしても,本当に相続人はこれで全員なのか,さらにはどこに住んでいてどうやって連絡するのか,なかなかご本人には難しい場合もあるでしょう。

そのような時はぜひ弁護士に相談していただきたいのです。
弁護士は依頼者の代理人として戸籍謄本や住民票などを取得することができますし,このような手順には慣れていますので,どこまで戸籍を取り寄せればいいか,どのように住所を調べてコンタクトするか,専門知識と経験のある弁護士に任せていただいたほうが確実です。
そして,交渉だけでなく必要に応じて調停や裁判手続きもすることも出来ます。
今回のケースでは,弁護士を通して先妻との子どもの居場所を調べてと連絡を取ることができ,無事にこちらの要望を伝えて円満に遺産分割の合意をとることができました。
遺産分割についても,こちらが被相続人の財産に対して貢献していた場合は寄与分を主張したり,債務があった場合は分担を主張したりできる場合もあります。
相続について少しでも不安や疑問がある場合は,弁護士に相談していただいて損になることはないかなと考えています。

ケース②海外で行方不明になった兄弟との間で遺産分割が成立した事例

相談前
父が不動産を残して亡くなりました。
母は既に他界し,父の子どもは私を含めて4人いましたが,そのうちの一人が海外に引っ越した後,連絡が取れなくなっていました。
不動産を処分したかったのですが,遺産分割ができずに困っていたところ,弁護士さんに相談しました。

相談後
弁護士さんが外務省へ照会を出し,不在兄弟の住所を調査してくれましたが,日本から引っ越していった時の住所しかわからず,その後の行方がわかりませんでした。
弁護士さんは,裁判所に不在者の財産管理人の選任の申立てをしてくれ,選任された財産管理人との間で遺産分割協議をして不動産を売却することができました。

先ほどと同じく「相続人と連絡が取れない」という状況なのですが,今度はその該当となる人が海外に住んでいるかもしれない,という場合です。

海外に住んでいる可能性が高い場合,日本のように戸籍や住民票をたどることはできないので,外務省を通して,住所の調査をすることになります。
今回は外務省に照会してもやはり行方がわからなかったのです。
そこで,裁判所に「不在者の財産管理人の専任の申立て」をしました。
簡単にいうと,行方不明で連絡の取れない相続人の代理として財産管理人を専任してもらい,その人との間で遺産分割協議をする,という流れです。
そのためにはもちろん,ありとあらゆる手を尽くしたけれども居場所ばわからなかったことをまず証明しなければなりません。
結果的に無事に協議することができて,不動産を売却することができました。

弁護士に依頼するメリットとは

弁護士に依頼するメリットのひとつとして,この「淡々とやるべきことをできる」というのもあると思っています。
相続ということは,大切な方を亡くした直後ということです。
それだけでも精神的に大きなショックなのに,現実と向き合って遺産相続について調べたり,財産の把握から相続人の特定から,あらゆる手続きをご自身でするというのは,かなりしんどいと思います。
弁護士に依頼することで,故人と向き合いながら事務的な手続きは任せることができるという、精神的なメリットもあると思っています。

相続の疑問は専門家に相談しましょう

以上のように,複雑な事情がある場合や相続人同士が疎遠な場合など,なかなかスムーズに話し合いが進まない場合もあるでしょう。

揉めごとが起こりそうなときは,はやめに弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
弁護士にご相談いただいた場合は,状況に応じて調停などの裁判手続きにも対応いたします。

相続に関するお悩みはありませんか?

  • 遺産分割の話し合いがまとまらない
  • 相続人がわからない・連絡がつかず協議ができない
  • 不動産など,どう分ければいいのかわからない
  • 遺言書の内容に納得できない
  • 遺留分を請求したい,または請求された。
  • 遺言書の書き方がわからない

相続(遺言書作成を除く)に関するご相談は,初回法律相談料1時間まで無料でお受けしております。
まずはお気軽にご相談ください。

関連記事

  1. 台風による損壊があった場合について|​​民法717条第1項及び2…
  2. サンタクロースの行為は「住居侵入罪」になる?|弁護士が解説
  3. パワハラの定義と対処法〜証拠保全と因果関係の立証が大事
  4. 選択的夫婦別姓の実現には法改正が必要か。最高裁判所の判決について…
  5. 中古車販売店ビッグモーターのパワハラ疑惑|法的措置について解説
  6. 相続のいろは第4回 遺言書の内容に納得できない場合は?
  7. 2023年4月に変わる労働基準法について|弁護士が解説
  8. 商業捕鯨再開~国際法の解釈と今後の課題
PAGE TOP