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相続のいろは第4回 遺言書の内容に納得できない場合は?

残されたご家族にご意思を伝えるのが遺言書の役目です。
相続人同士が円満に相続を進めるために,そして争いを未然に防ぐためには,遺言書の作成が最も有効です。
しかし,その遺言書の内容に納得がいかない場合は,どうすればいいのでしょうか?

遺言書の内容を決めるのは遺産を残す人の権利

遺言書の内容を決めるのは,財産を残す人の権利です。
法律上の問題に抵触しない限り,財産を残す人の意思に従い,どのような内容の遺言を書くことができます。
とはいえ,本当にひとりで好きなように書いてしまっていいのか?
そう不安になることでしょう。

遺言書の内容については,相続人の誰かひとりに相談してしまうと他の相続人とのトラブルの原因にもなりますので,なかなか本音で相談できる相手がいないのも事実です。

遺言書の内容によってはトラブルの原因になることも

遺言書はご自身の意思で自由に書くことが出来ますが,果たして本当に意思をそのまま書いてしまって問題ないのでしょうか?

例えば,長女・次女の二人の相続人がいて,遺言書に「財産はすべて長女に相続させる」と書き,遺言書に従って全ての財産を長女に相続させたとします。
そうなると次女はもちろん納得がいかないでしょうし,姉妹でトラブルに発展する恐れがあります。
残された家族間の争いを避けるためにと思って作成した遺言書遺言書が,むしろトラブルの原因になってしまいます。

「遺留分」を考慮した遺言書でトラブルを防ぐ

遺言書を作成するときは,このような争いを避けるために最低限の取り分を相続人に残すという方法があります。
この最低限の取り分のことを法律用語で「遺留分(いりゅうぶん)」といいます(民法1042条)。
遺留分とは,相続財産の一定割合について兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者,子,直系尊属)に対して相続財産の取り分を保障する制度です。
その取り分の割合は法定相続分の2分の1ですが,相続人が直系尊属(父親や母親)のみの場合は3分の1となります。一方で,兄弟姉妹にはありません。

例えば,配偶者1人であれば50%の半分の25%,相続人が子供達4人の場合は,25%の半分で12.5%,配偶者と子供が2人の場合は,配偶者が25%,子供達はそれぞれ12.5%,父親のみが相続人の場合は3分の1となります。
法律上の規則が少々複雑な内容になっていますので,具体的な例を表にしますので,こちらを参照してください。

相続人の組み合わせ遺留分各人の取分(遺留分)
配偶者と子1人1/2配偶者1/4 子1/4
配偶者と直系尊属1/2配偶者1/3 直系尊属1/6
配偶者と兄弟姉妹1/2配偶者1/2 兄弟姉妹 なし
配偶者のみ1/2配偶者1/2
子のみ1/2子1/2
直系尊属のみ1/3直系尊属1/3
兄弟姉妹のみなしなし

遺留分とは,誰か特定の人に全ての財産を相続させるという遺言書を書いたとしても,この遺留分の割合を取り戻すことが出来るという法律上の権利です。
残されたご家族間のトラブルを防ぐためには,あらかじめこの遺留分を考慮した内容の遺言書を作成することをお勧めします。

遺留分を考慮しない遺言書だったときは?

先ほどの「財産はすべて長女に相続させる」といった例のように,遺留分を考慮しない遺言書に納得がいかないご家族はどうしたらいいのでしょうか。

法律用語ではこれを「遺留分の侵害」と呼びます。
その場合,侵害されている相続人が,遺留分以上に相続財産を得ている他の受遺者に対して「遺留分侵害請求」をすることになります。以前は「遺留分減殺請求」と呼ばれていたのですが,民法改正で「遺留分侵害請求」と変わりました。

遺留分侵害請求の具体的な手順等については次回の「相続のいろは」で詳しく説明いたします。

遺産分割で揉めごとが起こりそうな場合は,はやめに弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
弁護士にご相談いただいた場合は,状況に応じて遺産分割調停などの裁判手続きも対応可能です。

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