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サンマの漁獲枠はどう決まる?日本漁業への影響

こんにちは、水産庁出身弁護士の長友隆典です。

「今年のサンマは高い」「近所のスーパーで見かけなくなった」
毎年サンマの季節になると、そんな声を耳にするようになったような気がします。

2026年4月14日〜17日、「北太平洋漁業委員会(NPFC)」の年次会合が大阪で開催され、ロシアや韓国など計9カ国・地域が参加しました。
我が国からは水産庁の福田工資源管理部審議官をはじめ、水産庁、外務省などから専門家の方々が参加しました。
専門家等を交えた会議の結果、2026年の公海におけるサンマの漁獲上限を前年から5%削減し、2027年はさらに10%削減することで合意しました。

この結果を受け、水産庁は4月27日、2026年の日本のサンマ漁獲枠を前年比4.3%減の9万1554トンとする方針を発表しました。

毎年国際会議で決められるサンマの漁獲枠

サンマは北太平洋を広く回遊する魚で、公海や、日本・ロシアなどの排他的経済水域(EEZ)をまたいで行き来します。

このような魚類をストラドリング魚種(straddling fish stocks)といって、国際管理の対象となる魚種として国際条約(国連公海漁業協定など)でも別途専門に取り扱われています(「水産業法務のすべて」参照)。

つまり日本だけが漁獲を自主的に抑えても、公海で他国の漁船が大量に獲ってしまえば、適切な資源管理はできなくなってしまいます。
そのため、複数の国・地域が集まり、共通のルールを作る必要があるのです。

サンマについて特にこの役割を担っているのが、「北太平洋漁業委員会(NPFC)」です。
日本・中国・ロシア・韓国・台湾・米国・カナダなど9カ国・地域が参加し、科学的データに基づいて北太平洋公海域での漁獲上限を決定します。

引用:https://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_koukan/attach/pdf/index-198.pdf

NPFCが管轄する公海域でのサンマの総漁獲枠は、資源の減少を受けて段階的に引き下げられてきました。そのため、2025年は121,500トン、2026年は115,425トンと減少しました。

これに各国の漁獲上限や排他的水域内での漁獲枠などを考慮し、日本政府が設定したTACは2025年は110,911トンでしたが、実際の漁獲量は約6万4,800トンで、枠には達しなかったものの、前年比(2024年38,726トン)で約1.7倍に増えました。

親潮が日本側に入り込んだことで日本近海に良好な漁場が形成されたためです。
ただし、2008年のピーク時と比べると依然として8割近く少ない水準です。

2022年の約33万トンから、2025年には約20万トンへと3年で約4割もの削減です。

サンマ不漁の原因は「獲りすぎ」だけではない

サンマの不漁は、漁獲量の問題だけでなく、海洋環境の変化も大きく影響しています。

温暖化の影響:黒潮の北上により、サンマが回遊するルートである冷たい親潮が日本近海まで張り出しにくくなっています。そのため、冷たい海を好むサンマが日本の沿岸まで近づかなくなってしまったことも原因です。

漁場の沖合化:上記の海流変化の影響により、遠く沖合まで行かないとサンマが獲れなくなってしまいました。往復で1〜2日かかる距離では、燃料費がかさんで採算が合わない船も出てきます。
また、沿岸に比べて沖合はプランクトンの密度が低く、成長が遅れる傾向もあるそうです。

魚体の小型化:ピーク時の2008年頃と比べ、漁獲されるサンマの体長・体重ともに小さくなっています。栄養豊富なプランクトンも暖かい海が苦手なため、サンマの餌となるプランクトンも減少しているのです。

これらの要因が複合的に絡み合っているため、漁獲枠を下げれば資源が回復するわけではありません。
科学的な資源評価の精度を上げながら、長期的に取り組む必要があります。

水産業界に関わる方へ:法務の観点から

漁獲枠の変動は、水産業に関わる企業・漁協・漁師の皆さんに直接大きな影響を与えます。

サンマの漁獲枠の削減はひとつの例で、これからの水産業は「たくさん獲って売る」時代から、「限られた資源の価値を高める」時代へと大きく移り変わっています。

こうした中で収益を確保していくためには、繰り返しになりますが、「どのような価値を持つ商品なのか」を適切に伝え、選ばれる仕組みを作る=ブランディングが重要なのです。

限られた資源を、適正な価値で未来につないでいくために、これからの水産業には、ブランディングと法務の両面から経営を支える視点がますます求められていくでしょう。

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▼参考・出典
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA150NR0V10C26A4000000
https://lib.suisan-shinkou.or.jp/column/suisan-shigen/vol13.html
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/260417.html
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/attach/pdf/260417-1.pdf
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fishery/unfsa.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/33c9eb09e6db0f3095f40e0248da95f7d289a8ae

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