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自転車にも青切符!新ルールについて弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2026年5月1日放送分

2026年4月1日から、私たちにとって身近な乗り物「自転車」に関するルールが大きく変わりました。
自転車の交通違反に「青切符」制度が正式に導入されました。
今回は、この新ルールの具体的な内容と、私たちが日常的に気をつけるべきことを解説します。

4月から自転車の罰則が厳格化、青切符とは?


日本の交通違反の取り締まりには、いわゆる「赤切符」と「青切符」の2種類があります。
それぞれの正式名称は、「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」(赤切符のこと)、「交通反則告知書」(青切符のこと)といいます。

赤切符は刑事罰の対象となる重大な違反に適用されるもので、裁判所への出頭が必要になります。
一方、青切符はいわゆる「反則金制度」のことで、違反をした場合に一定の反則金を支払うことで刑事手続きを免れるという仕組みです。
自動車ドライバーにはおなじみの制度ですが、今回これが自転車にも導入されました。

これまでは、自転車の交通違反に対しては警察官からの口頭注意や指導が中心で、悪質な場合に限って刑事罰の対象になるという運用でした。
ところが近年、自動車などによる交通事故全体は減少傾向にある一方で、自転車が関係する事故は増加傾向にあり、重大な事故や死亡事故のうち7割以上が自転車側の違反が原因とも言われています。
こうした状況を受けて、自転車にも青切符を導入し、より実効性のある取り締まりができるようにしようというのが今回の改正の狙いです。

罰則対象となる113の反則行為


今回の青切符の対象は16歳以上の自転車利用者で、113の反則行為が定められています。

代表的なものをご紹介すると、まずスマートフォンなどの携帯電話を使用しながら運転する「ながら運転」の反則金は1万2000円。
地図アプリを見るためにハンドルにスマホを固定している方もいますが、これも前方不注意につながりますので、走行中はスマホを注視しないよう気をつけてください。

次に信号無視は6000円、2人乗りは3000円、一時不停止は5000円など、違反の危険度に応じて金額が設定されています。

原則として自転車は車道の左側を走らなければなりませんので、歩道を走ること自体も、条件によっては反則金の対象になります。
ただし、安全上やむを得ない場合などは歩道通行が認められていますので、一律に禁止というわけではありません。
13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な方は、引き続き歩道を走行することが認められています。

また、今回の改正にあわせて、車道で自転車を追い抜く自動車側にも新しいルールができました。
自転車を追い越す際には「間隔に応じた安全な速度」で進行しなければならないとされ、目安として自転車との間隔は1.5メートル程度が求められています。自動車のドライバー側も意識を変える必要があります。

そして、飲酒運転や酒気帯び運転は、従来どおり刑事罰が科せられる赤切符の対象です。
飲み会に自転車で行って、帰りも酔っ払いながら自転車で帰るなどということは絶対にやめましょう。
自動車と同じく飲酒運転として刑事罰が課せられますし、ご自身の安全だけでなく、他の歩行者の安全のためにも厳禁です。

制度の課題:道路環境整備とルール周知が課題


今回の新制度には、課題や批判の声もあり、専門家からも「やや見切り発車では」という指摘が出ています。問題は大きく2点あります。

一つ目は、道路環境の整備が追いついていないという問題です。
制度の建前として、自転車は原則として車道の左側を走らなければなりませんが、実際には路上駐車している車が多かったり、自転車道や自転車専用レーンが十分に整備されていなかったりする地域もたくさんあります。
子どもを自転車の後ろに乗せているお父さんやお母さんが車道を走らなければならないのかという声もあります。
正直なところ、車道を走れと言われても怖いと感じる人は多いのではないでしょうか。
特に北海道では、地方の国道などの主要道路では大型トラックなどが速い速度で走行していて、通り過ぎる時に恐怖を感じるのはもっともなことだと思います。

二つ目が、ルールの周知不足です。
制度が始まってからまだ間もないこともあり、逆走や歩道通行など違反行為がまだ見られるという報道もあります。
実際、北海道の報道では、青切符制度が導入されてから約2週間が経過した時点でも、歩道通行や逆走といった違反がなくなっていないという状況が伝えられていました。
学校や職場など、あらゆる場で周知を徹底していくことが今後の大きな課題です。

また、残念ながらこの制度を悪用した詐欺まがいの出来事も報告されています。
広島県では4月上旬に、自転車に乗っていた高校生が「4月4日から法が変わったから違反だ、2000円を支払え」と見知らぬ男に声をかけられ、現金を騙し取られるという事件が起きました。
当然これは詐欺です。
警察の制服を着ていない一般人が路上で反則金を徴収することはありませんので、こうした詐欺には十分ご注意ください。

参考情報:Yahooニュース 自転車「青切符」悪用の“ニセ警察官”が相次ぐ 中高生ねらう卑劣な行為が発生!

安全のために、私たちが気をつけること


何より大切なのは、基本的なルールをしっかり守るということです。
車道の左側通行、信号の遵守、一時停止の徹底。これらは新しいルールではなく、以前からのルールです。罰則が強化されたからやるというのではなく、自分自身や周りの人を守るために当然のこととして実践していただきたいです。

また、ヘルメットの着用は今も努力義務のままで、罰則はありませんが、万が一の際に命を守るために、ぜひ積極的に着用していただきたいと思います。自転車の死亡事故の約半数が頭部への怪我が原因という統計があるように、ヘルメットを着用するとしないでは安全性が全く異なります。
特にお子さんには、保護者の方から着用を促してあげてください。

余談になりますが、スキーやスノーボードでもヘルメットをかぶっている人が徐々に増えていますが、安全性という面からは絶対に着用をお勧めします。

今回の青切符導入は、自転車事故を減らすための大切な取り組みですが、道路環境の整備やルールの浸透には、まだ課題もあります。
大切なのは、罰則を恐れるからルールを守るのではなく、自分も周囲の人々も安全でいるために、交通ルールを守るという意識を持つことです。

自転車は免許不要で誰でも手軽に乗れる便利な乗り物だからこそ、改めてルールを確認し、安全運転を心がけていただければ幸いです。

参考
自転車の交通ルールはどう変わる?新しい罰則について|長友国際法律事務所
警察庁 自転車の新しい制度
政府広報オンライン 2026年4月から自転車の交通違反に「青切符」を導入!何が変わる?
Diamond Online 「全面的には賛成できない」青切符制度をつくる側だった専門家が指摘する「制度の致命的な欠陥」とは?
STVニュース 道路を逆走する自転車も “青切符”導入から約2週間 ルール周知と徹底が課題 道警が呼びかけ

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