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共同親権、2026年4月から何が変わった?弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2026年4月3日放送分

令和8年(2026年)4月1日、日本の親権に関する制度が大きく変わりました。

これまで離婚後は父母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」が原則でしたが、新たに両親がともに親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました。

この改正は、子どもの利益を第一に考え、離婚後も両親が子育てに関わり続けることを可能にする一方で、DV被害などへの懸念も指摘されています。

今回は、新しく始まった共同親権制度について、その内容と注意点を詳しく解説します。

子の養育に関するルール:3つの大きな変更点


これまで日本では、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、父母のどちらか一方を親権者とする、いわゆる「単独親権」が原則でした。

令和8年4月1日から施行された今回の改正によって、離婚後も父母がともに親権を持つ「共同親権」という選択肢が新たに加わるなど、主に大きく3つの点が変わりました。

1. 共同親権か単独親権かを選べる

これまでは、離婚後は必ずどちらか一方を親権者に決める必要がありましたが、今後は、父母双方を親権者とする「共同親権」を選ぶことができるようになりました。

ただし、共同親権を選んだ場合でも、食事や学校とのやり取りなど日常の監護については、これまでどおり一緒に暮らしている親が単独で行うことができます。

一方で、進学や転居、手術といった、子どもの人生に大きな影響を与える事項については、父母で話し合って決めるルールになりました。

2. 試行的な面会交流の実施

これまでも面会交流の制度はあり、父母の話し合いや、家庭裁判所の調停・審判によって取り決めることはできましたが、手続きの途中で試しに会ってみて、その様子を見て考える、という進め方はあくまで裁判所の裁量で行われており、制度として明確に位置づけられていたわけではありませんでした。

今回の改正では、家庭裁判所の手続きの途中であっても、試しに面会交流を行う「試行的な実施」ができるように制度化されました。

これは、早い段階で親子が交流することで、その後の面会交流をスムーズに進めることを目的としています。

また、これまでは基本的に父母のみが対象でしたが、祖父母などの親族についても、一定の条件のもとで面会交流を求める申し立てができるようになりました。

3. 養育費の制度強化

これまでの問題として、離婚の際に養育費について十分に取り決めがされないケースや、取り決めをしていても実際には支払いが止まってしまうケースが少なくありませんでした。

そこで今回の改正では、離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、一定額の養育費を請求できる「法定養育費制度」が新たに導入されました。(2026年4月の時点では、月額2万円とされています)
さらに、養育費の支払いが滞った場合には、他の債権者よりも優先して財産を差し押さえることができる「先取特権」も認められています。

離婚後も親子の関わりを継続できる


共同親権のメリットとして大きいのは、離婚後も両親がともに子どもに関わり続けることが制度として明確になったことです。これまでも離婚後に親としての責任がなくなるわけではありませんでしたが、実際には「親権を持っていない側は関わりにくい」といったケースも多くありました。

共同親権になることで、子どもの進学や将来に関わる重要な場面に、双方の親が関わることが前提になりますので、「離婚しても親としての責任は続く」という意識がより明確になると考えられます。

また、これまで離婚の際に親権をめぐって争いになるケースも多かったのですが、共同親権という選択肢ができたことで、争いを避けやすくなるという面もあります。

さらに、子どもの立場から見ても、両方の親と関わりを持ち続けられることで、心理的な安定につながることも期待されています。

離婚後でも共同親権への変更は可能


今回の法改正によって自動的に共同親権へ変わることはありませんので、すでに離婚して単独親権が定められている場合は、そのまま単独親権の状態が続くことになります。

ただし、場合によっては、あとから共同親権へ変更することは可能です。

この場合、共同親権になることを父母の間で合意ができていたとしても、親権は、子どもの生活や将来に関わる大事なことですので、必ず家庭裁判所の手続きが必要になります。

具体的には、家庭裁判所に対して「親権者変更の申立て」を行い、裁判所が「子どもの利益になる」と判断すれば、単独親権から共同親権に変更されることになります。

DV・モラハラなど問題がある場合は注意


共同親権では、子どもに関する重要な事項について、父母の話し合いが必要になります。
そのため父母の関係が良好でない場合は、意見が対立して調整が難しくなるなど、かえってトラブルが増えるケースも考えられます。

また、DVやモラハラといった問題がある場合には、離婚後も関係が続いてしまうことで、被害を受けている側の負担が大きくなるのではないか、という懸念も指摘されています。

そのため法律でも、DVや虐待のおそれがある場合などには、共同親権ではなく単独親権とすることが前提とされています。

最終的には「どちらの形が子どもにとって良いのか」という観点で判断されることになりますので、すべてのケースで共同親権が選ばれるわけではありません。

すべては「子どもの利益」のために

「単独親権」「共同親権」いずれにしても、一番優先されるのは「子どもの利益」です。

単独親権か共同親権かを選ぶ際にも、「親がどうしたいか」ではなく、「子どもにとってどちらがより良い環境になるのか」という視点で判断されることになります。

もちろん家庭裁判所が関与する場合にも、最終的な判断基準は一貫して「子どもの利益」が優先されます。

今回の法改正も、離婚後であっても子どもが健やかに成長できるように、その環境を整えることを目的としたものですので、あらゆる選択において、この視点を大切にしていただければと思います。

▼過去の記事もご覧ください

▼参考記事
法務省民事局|父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました
朝日新聞SDGs  ACTION!|共同親権とは?具体的に何が変わる?メリットや懸念点を弁護士が解説

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