新型コロナウイルス感染症の第3波により,2021年1月7日に再発令された緊急事態宣言。
当初は1ヶ月後の2月7日に解除の予定でしたが,東京都で連日1000人を超える感染者が報告されるなど,1月27日の日本医師会の中川会長の記者会見では「2月7日の解除は現実的ではない」との見解が示されました。
今回は,緊急事態宣言の延長の可能性と,一時休止になっているGoToトラベルの再開時期について解説します。
※放送後の2月2日、東京都を含む10都道府県において緊急事態宣言は3月7日まで延長が発表されました。
いまこのタイミングで緊急事態宣言を解除してしまうと,また感染者が一気に増えてしまうのではないかという懸念があります。
一方で菅総理が再発令の際に「1か月後には必ず改善させる」と強い決意を見せたことから,政府は簡単には延長を決定しない方針と思われます。
延長するか否か判断するのは,解除予定日にあたる2月7日の数日前ではないかとされていますが,いずれにしても今から1週間後には,何らかのかたちで今後の方針の発表があるでしょう。
第3波と呼ばれる現在の感染者が増えているのは,年末のクリスマスや忘年会の時期に多くの人が出歩いたことが原因だと考えられます。
1月7日以降の緊急事態宣言再発令後は,飲食店の営業時間自粛要請をはじめ,人の動きが少なくなってきた効果がそろそろ出てくる頃かもしれません。
新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で進められており,日本国内での接種は高齢者が4月1日から,一般の方々は5月1日から接種開始となる見通しです。
1月28日の報道によると,製薬会社のアストラゼネカが国内の製薬会社に製造を委託し,日本国内でワクチンの生産を始める予定です。
まずは3000万回分を3月までに輸入し, その後に厚労省の承認を得られれば最大9000万回分のワクチンが国内で供給できるようになります。
アストラゼネカのワクチンの特徴は,接種まで最大12時間冷蔵保存が可能。
ワクチンの保管と輸送が世界中で課題になる中で,冷蔵で運搬できることは大きな前進です。
ただし,国内でも離島など輸送に時間がかかる地域にどのようにしてワクチンを運ぶかという課題が残っています。
効果的なワクチンがいきわたるまでは,感染者が一定数増えたら緊急事態宣言で人の動きをおさえて,おさまったら解除することの繰り返しとなるかもしれません。
緊急事態宣言の延長の可能性とともに,現在一時休止になっているGoToトラベルキャンペーンの再開時期にも注目が集まっています。
GoToトラベルの一時停止は11月末に感染者の増大が大きかった札幌,大阪から始まり,続いて東京都などに対象が広がって,12月には全国一斉に一時停止となりました。
一時停止の期限は1月11日で,12日から解除の予定でしたが,1月7日に緊急事態宣言が再発令されたことにあわせて,GoToトラベルの一時停止期間も延長されています。
GoToトラベルの一時停止期間は緊急事態宣言と同じく2月7日までの予定ですが,緊急事態宣言と同様にGoToトラベルの一時停止期間も延長になる可能性が高いです。
※その後,緊急事態宣言の延長にともないGoToトラベルキャンペーンの一時停止期間も同じく3月7日まで延長が決まりました。
1月26日に西村経済再生担当大臣が話したことによると,GoToトラベルの再開の条件は新型コロナウイルスの感染状況を示す指標が「ステージ2」に下がることです。
この条件は,緊急事態宣言を解除する目安の「ステージ3」よりも厳しく,もしかすると緊急事態宣言の解除後すぐにGoToトラベルを再開することは難しいかもしれません。
ステージ3の目安は「直前1週間の10万人あたりの新規感染者数が15人以上」であり,ステージ3にならないためには,東京なら1日あたりの新規感染者数が300~500人,札幌なら42人未満に抑える必要があります。
現在のところステージ2の明確な指標がありませんが,ステージ3よりもより厳しい条件となるでしょう。
まずは新型コロナウイルス感染症の感染拡大を止めることが大切です。
私見になりますが,GoToトラベルが直接的に感染拡大に寄与したのかどうか不明な部分もあり,無闇に恐怖心だけでGoToトラベルを中止にしたままだと,飲食業や旅行業などへの影響が大きすぎます。
感染拡大を防ぐことはもちろん最優先ですが,感染拡大の原因をしっかりと調査把握し,確実な予防策をとってワクチンの接種も進めた上で,経済もしっかりと回していくことが大切だと考えます。
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