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知っておきたい雪に関するトラブルと法律問題|弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2026年2月6日放送分

2026年、今年も札幌では2月4日から11日まで、雪まつりが開催されました。
札幌市の観光客数は年々増えていますが、特に2月の雪まつりシーズンは、国内外から多くの観光客が訪れます。

今年も日中関係の影響が心配されましたが、外国からも含めて多くの人の来場があり、市によると、来場者数が7年ぶりに250万人を超えたようです。

経済効果についても、札幌市が公表している調査結果によると、令和5年の「さっぽろ雪まつり経済効果調査」では、来場者の消費などによる市内への経済波及効果は、生産誘発額でおよそ679億円と推計されています。

▼参考
2026 さっぽろ雪まつり(第 76 回)開催結果(大通会場・つどーむ会場)について
札幌市:計画・調査レポート|さっぽろ雪まつり経済効果調査(令和5年3月)
札幌市経済観光局観光・MICE推進部:令和4年度札幌市観光イベント 経済効果調査

今シーズンの大雪状況


この冬シーズンを振り返ってみると、1月は大雪の日も続きました。

札幌では、1月25日には正午には積雪が101センチと今シーズン初めての積雪1メートルを超え、2月9日には105センチとなりました。

日本気象協会の報道によれば、2000年以降の統計の中で、1月としては最も多い雪の量となり、積雪量が1メートルを超えたのは、2021年から2022年のシーズン以来、4シーズンぶりだったそうです。

また、1月末にも大雪の影響で、札幌市内の交通機関が大きく乱れました。
48時間の降雪量が、統計開始以来最大となる64センチを観測し、札幌圏のすべての列車が一時運休、高速道路も通行止めとなるなど、少なくとも14万人に影響が出たと報じられています。

その後も雪が続いたため、少なくともこのブログを書いている2026年2月10日までは、JR北海道では千歳空港行の快速エアポートの間引き運転を実施していました。

私もちょうど1月の大雪の日にJRで空港に行く予定だったのですが、結局JRが動かず、高速道路も閉鎖されてしまったため、車で下道をゆっくり運転しながら空港に行きました。
空港では、足止めになったたくさんの方々で溢れていました。空港内で一夜を明かした方もたくさんいたそうです。

また、空港に向かう道でも、道路の中央で雪に埋もれて動けなくなっている車を何台も見ました。
幸い事故は起きていませんでしたが、道路を塞いでしまう可能性を予見できていた場合は、何らかのトラブルや責任問題がに発展してしまうケースもあるでしょう。

▼参考
Yahoo!ニュース:札幌市で“記録的な大雪” 列車運休で14万人に影響
日本気象協会:札幌 4シーズンぶりの積雪1メートル超え! 引き続き大雪に警戒

よくある雪トラブルの事例

雪や除雪に関して、毎年トラブルに発展するケースも少なくありません。

「誰かが除雪した雪を自分の敷地に置いていってしまった」
「隣の家の屋根から雪が落ちてきた」

こうした事例は、雪国では珍しくないご近所トラブルで、「雪国だから仕方ない」と受け止められがちなのですが、実際には法律問題に発展するケースも少なくありません。

除雪された雪が邪魔なケース:妨害排除請求

たとえば、除雪された雪によって自宅の玄関や出入口がふさがれてしまったり、車の出し入れができなくなってしまった場合、単なる不便にとどまらず、日常生活に支障が生じてしまいます。

状況によっては、民法上の権利侵害として問題になることもあります。

「誰かが除雪した雪を自分の敷地に置いていってしまった」となると、不法投棄に当たるのでは?と思う方も多いかもしれませんが、法律上は、雪そのものは誰かの所有物というわけではありませんので、「不法投棄」には当たらないと考えられています。

民法239条
1.所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2.所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

このような場合には、雪を捨てられた土地の所有者が、土地の所有権に基づく民法上の「妨害排除請求」という方法で、雪を捨てた方に対して「自分の土地の利用を妨げている状態をやめてください」「雪を取り除いてください」と求めることができます。

屋根からの危険な落雪:工作物責任

屋根から落ちた雪によるトラブルも多く見られます。
屋根雪が落下して、自分の敷地内に被害が出るだけでなく、通行人に当たってけがをさせてしまったり、車や建物を損傷させてしまった場合には、民法717条1項、いわゆる「工作物責任」が問題になります。

この規定では、建物などの工作物に設置や管理上の欠陥があって、それによって他人に損害が生じた場合、その建物の所有者や管理者が責任を負うことが定められています。

ポイントになるのは、雪が自然に降ったかどうかではなくて、屋根に大量の雪が積もることを事前に予測できたかどうか、そして、その危険に対して適切な対策を取ることができたかどうか、という点です。

自分の家の屋根から落雪の危険性があることを把握しながら、特に除雪や注意表示などを行わずに放置していた場合には、法律上の責任が問われる可能性が出てきます。

道路に放置された雪:道路法42条 維持・管理義務

さらに、除雪した雪が道路に放置された場合には、道路法と関係してきます。
道路法第42条では、道路管理者は道路を常に良好な状態に保ち、一般交通に支障を及ぼさないように維持・管理する義務があると定められています。

そのため、除雪した雪を道路上に積み上げた結果、歩行者や車の通行を妨げてしまったり、事故の原因になった場合には、法的な問題に発展する可能性があります。

また、除雪した雪を捨てる場所については、私道や敷地の境界をめぐるトラブルにもつながります。

民法上の所有権や使用関係のルールが関係してきますが、「自分の土地だから」「以前からこうしているから」という認識でも、実際には他人の権利を侵害してしまっているケースも少なくありません。

トラブルが大きくなる前に、早めの相談が大切

雪に関するトラブルというのは、最初から大きな争いになるわけではなく、日常の中のちょっとした不便や認識の違いから始まることがほとんどです。
こういったトラブルは、雪の降る地域に住んでいれば、誰にとっても起こり得る身近な問題ということです。

ケースによっては、民法や道路法など複数の法律が関係してくることも多く、ご自身だけで判断するのが難しいことも少なくありません。
小さないざこざが大きなトラブルに発展する前に、一度弁護士に相談して、法的な視点から整理しておくと安心です。

「ただのご近所問題だし」「これって相談するほどのことかな?」と迷われる段階でも構いませんので、気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

過去の記事もぜひ参考にしてください。

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