
2月6日のブログでは、雪に関する法律トラブルの事例などを紹介させていただきました。大雪になると避けられないのが、交通機関への影響です。
こちらのブログでも書いた通り、2月初旬に札幌で100cmを超える大雪の日があり、JRやバスの運休も相次ぎました。札幌と新千歳空港を結ぶ快速エアポートが運休してしまったため、空港に足止めになってしまった方もたくさんいました。
私自身も飛行機で移動する予定があったのですが、当日はJRが完全に止まり、高速道路も雪で閉鎖されていたので、その日の飛行機は諦めて、翌朝の便に変更しました。そして翌日もまだ高速道路が使えなかったので、下道を使って新千歳空港まで向かい、なんとか飛行機に乗ることができました。
このような大雪による遅延・運休の場合、各交通機関の補償の条件は、どのようになっているのでしょうか?
▼参考
STV NEWS NNN|札幌の大雪でJR運休相次ぐ 快速エアポートなど121本 路線バスは運休や遅れ…都市間バスも

自然災害による運休や遅延となった場合の払戻しなどについては、鉄道であれば鉄道営業法16条及び17条があります。ただし、具体的な払い戻しについては、JRや航空会社には、それぞれあらかじめ決められたルールに沿って払い戻しなどの対応が行われています。
JR北海道では、運休や2時間以上の遅延が発生した場合に、原則として会社の規定に基づいて払い戻しが行われるとしています。途中まで乗ったけれど、そこで運転が打ち切りになった場合や、運休や遅延によって次に乗り換えた電車の到着予定時刻が2時間以上遅れてしまった場合も、乗っていない区間分の運賃や、特急料金は返ってくるようです。
ただし、すべてのきっぷが対象というわけではなく、「おトクなきっぷ」など一部の商品は取り扱いが異なるようなので、駅の窓口などで確認する必要があります。
定期券についても、5日以上連続して運休した場合に限って延長や払い戻しの対象になるようです。
詳しくは各鉄道会社の規定をご確認ください。
▼参考
JR北海道|列車のご利用(ダイヤ・遅延・運休時など)について – 列車の遅延・運休時
鉄道営業法

大雪などが原因で、飛行機が遅延・欠航になった場合も、基本的な考え方はJRと共通しています。
各航空会社も、台風や大雪といった不可抗力による遅延・欠航については、それぞれ定めたルールに基づいて、変更や払い戻しの対応をしています。
たとえば、ANAでしたら、台風や降雪などが理由で便が遅延・欠航した場合、同じ日の別の時間帯の便や、翌日以降の自社便への変更、もしくは航空券の払い戻しのどちらかを選ぶことができます。ただし期限があり、ANAでは、変更は出発予定日から10日以内、払い戻しは出発予定日から30日以内と期間が決められています。
JALの場合も、基本的な考え方は同じです。台風や降雪など不可抗力による遅延・欠航の場合には、空席のある自社便への変更や、未使用区間の払い戻しが可能とされています。ただし、予約内容によってはWeb上で手続きができず、専用フォームや窓口での対応が必要になるケースがあります。
いずれにしても、悪天候を理由とする変更や払い戻しであっても、空港までの交通費や宿泊費などの付随費用は原則として自己負担になります。あくまでも飛行機代だけが補償の対象になる、ということです。
▼参考
ANA|悪天候などが理由の変更・払い戻し
JAL|お手続き方法のご案内(遅延、欠航)

前述の大雪の例のように、飛行機自体は予定どおり飛んでいるのに、空港に向かうJRが止まっていて空港に辿り着けず、結果的に予定していた飛行機に乗れなかったというケースも珍しくありません。
飛行機が予定どおり運航している以上、空港への移動手段に関わらず、航空会社としては「お客さま都合による乗り遅れ」という扱いになるのが基本です。JRの遅延や運休は、航空会社の管轄外となるので、「JRが遅れて飛行機に乗れなかったから、飛行機も払い戻し」ということにはなりません。JRが止まっているのであれば、車やバス、タクシーなど別の移動手段を各自が検討する必要があります。
ただし、一部の航空会社では、電車やバスなど公共交通機関の遅延によって予約便に乗り遅れそうな場合、運休・遅延証明書を取得したうえで、空港のカウンターに申し出ることで、予約便の変更や払い戻しに応じてもらえるケースがあります。
これについても、あくまでも航空会社の規定に基づく判断になりますので、必ずしも「JRが止まった=飛行機も補償される」とは思わないほうがいいでしょう。
▼参考
JAL|国内線|電車やバスなどの公共交通機関の遅延により間に合わない場合
LIVE DOOR NEWS|帰省時、電車遅延し飛行機に乗り遅れた…鉄道会社に“賠償請求”できる?

北海道では大雪以外にも、鹿などの野生動物が交通機関に影響を与えることもあります。
シカ等が線路内に侵入して列車が急停車したり、運休や遅延が発生したりするケースも少なくありません。
JR北海道の発表によると、エゾシカとの衝突事故は、2025年度11月時点ですでに2,000件を超えており、また、クマの出没・衝突は過去最高の件数になっているようです。
野生動物との衝突事故についても、基本的な考え方は大雪などの自然災害と同じです。シカの侵入は、鉄道会社が完全にコントロールできるものではないため、法律上は不可抗力として扱われます。
JR北海道では、大雪の事例と同様で、シカとの衝突などが原因で列車が運休した場合や、2時間以上の遅延が生じた場合には、会社の規定に基づいて運賃や料金の払い戻しが行われます。ただし、その結果飛行機などに乗り遅れても、そこは補償の対象にはなりません。
実は私も以前、快速エアポートに鹿が衝突して、1時間ほど遅れたことがありました。その際、仮に飛行機に間に合わない場合は飛行機のキャンセル費用やホテル代など補償の対象になるのか聞いたところ、それはできないと言われたことがあります。
▼参考
札幌市内にも出没、エゾシカの被害と対策
JR北海道|列車のご利用(ダイヤ・遅延・運休時など)について – 列車の遅延・運休時
JR|鹿・熊による列車運行への影響件数について

冬の季節、どのような移動手段を使うにしろ、「遅れる可能性がある」という前提で、時間に余裕をもって予定を組んでおくことが大事です。
たとえば、電車が30分遅延しても間に合うようなスケジュールで行動しておけば、飛行機に乗り遅れることはないかもしれません。
あとは、常に「プランB」、つまり代替案を考えておくことも有効です。
「もしもJRがダメだったら車で行こう」「高速道路が使えなくても、このルートでいけばこのぐらいの時間でいける」など、別の移動手段をあらかじめ用意しておけば、もしものときに慌てることもないでしょう。
そして、先ほどお話ししたように、変更や払い戻しの条件や期限を事前に確認しておくことも大切です。「止まったらどうしよう」ではなく、「止まったときはこうしよう」を備えておくこと。特に冬は、そういったケースを想定しておくと、いざというときに慌てずに行動ができます。
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