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マイナンバーカードのメリット・デメリット〜法改正で何が変わる?|国際弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2023年3月17日放送分

身分証明書としても使えるマイナンバーカード,マイナポイント進呈期限の2月末頃に駆け込み申請をした人も多いのではないでしょうか。
顔写真をはじめ,いろいろな個人情報を含むマイナンバーカード。
便利な反面,なかには個人情報の漏洩を心配している人も一定数いるようです。
今回はそんなマイナンバーカードについて,マイナンバー法にも触れてお話ししていきます。

マイナンバーカードのメリット

マイナンバーカードは身分証明書として使えるのはもちろんですが,一番便利だと感じるのは,住民票や印鑑証明書などの公的な証明書をコンビニで取得できるようになったことです。
これまでは市役所や区役所まで行って,順番を待って取得しなければならなかったのですが,近くのコンビニで済むのはとても画期的です。
それから,健康保険証として利用できる病院も増えてきました。
保険証は普段あまり使わないので,いざ病院に行ったときにうっかり忘れてしまうこともありますが,マイナンバーカードであれば基本的にいつでも携帯しているので,保険証として機能するのはとても便利だと思います。
この制度は現在は任意ですが,今年の4月1日を目途に概ねすべての病院で保険証として使えるように現在整備中だそうです。

マイナンバーカードのデメリット

マイナンバーカードの申請枚数は,2023年3月1日の時点で,国民の74%にあたる9400万枚,残りの約26%の人は申請していないのが現状です。
マイナンバーカードはメリットが多い反面,強いて言えば,たくさんの個人情報と紐付いていることから,紛失や盗難にあった際の情報漏洩が心配かもしれません。
また,コンビニで公的書類を取得する際,顔写真の認証はないので,本人じゃなくても暗証番号があれば住民票などが取得できる点も,セキュリティが心配になる人もいるでしょう。
予防策としては,暗証番号を誕生日のような単純な数字にしないこと,推測されにくい番号にしておくことというのはもちろん重要だと思います。
また,さまざまな個人情報を含む大事なカードなので,漠然と持ち歩くこと自体が不安に感じる方もいるかもしれません。

マイナンバーカード,法改正で変わること

現在,マイナンバーカードがもっと活用されるように、法律が改正されようとしています。
マイナンバー法だけでなく,健康保険証に関わる健康保険法など,関連する13の法律の改正案なので「束ね法案」とまとめられていますが,その中のひとつに「保険証を廃止する」というのが盛り込まれています。
それ以外には,マイナンバーの利用範囲を広げる内容があります。
国家資格の手続き,自動車の登録など,書類の取得手続が省略されるようになります。
国家資格の更新手続などで,今までは住民票の添付などが必要だったものが,マイナンバーを提出することで,資格を管理する団体が直接個人情報を取得できるようになるため,書類の添付が必要と無くなる場合も想定されています。
それから,現在は申請も受け取りも自治体の窓口ですが,今後は郵便局でも受け取りができるようにする内容が盛り込まれているようです。
お住まいの地域によっては,たとえば体が不自由な方や,交通の便が悪いなどの理由で,なかなか役所まで行くのがむずかしいという方も多いかもしれません。
郵便局であれば,田舎の小さな町でも比較的ある程度の範囲に設置されているため,受け取りやすくなる方も増えるでしょう。

マイナンバーカードを作る際に気を付けること

大事な存在のカードだからこそ「持ち歩くのが不安、そもそも作ることに抵抗がある」という方もいるかもしれません。
繰り返しになりますが,マイナンバーカードを作るには,推測されないような暗証番号を設定し,ほかの暗証番号とも違うものにするのがいいと思います。
一番不安なのは,やはり紛失や盗難時の不正利用だと思いますので,万が一紛失してしまっても,悪用されないように対策しておきたいところです。


また,会社の人事担当者の方など,個人のマイナンバーを取り扱う側も気をつけなければなりません。
マイナンバーの情報が必要な場合に,集めた個人情報を漏洩させないように,取り扱いに十分注意する必要があります。
実はマイナンバー法にもとづいて,マイナンバーの漏洩には罰則があります。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律ー第四十八条
機構保存本人確認情報の提供に関する事務に従事する者又は従事していた者が、正当な理由がないのに、その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工した特定個人情報ファイルを含む。)を提供したときは、四年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

e-Gov

自分のマイナンバーの取り扱いだけでなく,従業員など個人のマイナンバーを管理する立場にある方は,一層気をつけていただきたいと思います。

マイナンバーカード、海外にもある?

アメリカには”Social Security Number”という,一般的にはSSNと言われる番号が各個人に振られていて,これは日本でいうマイナンバーのようなもです。
SSNの歴史は古く,導入されたのは1936年です。
そもそも社会保障の利便向上のために導入されたのですが,今では運転免許取得や銀行での口座開設,その他さまざまな場面で利用されています。
アメリカだけではなく,オーストラリア,ドイツ,イギリス,フランスなどの多くの欧米諸国やインド,お隣の韓国,台湾でも同じような番号制度が導入されています。

デジタル庁「諸外国における共通番号制度を活用した行政手続のワンスオンリーに関する取組等の調査研究」

わが国ではマイナンバーカードの導入がなかなか進まず,マイナポイントをつくったり,さまざまな方法で取得してもらうように試みていますが,個人情報の保護や無くしたときのセキュリティの保護などをきちんとすれば,きっと便利さを実感できることでしょう。

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