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「振り込め詐欺」などの「特殊詐欺」に注意!その種類と手口を弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2023年10月20日放送分

「振り込め詐欺」などの「特殊詐欺」は,みなさんの身近にも起こりうる犯罪のひとつです。

「オレオレ詐欺」のようによく知られている手法から,公的機関を装った詐欺まで,その手口はさまざまですが,インターネットやスマートフォンの普及などにより,手口が巧妙化してきていることが社会問題になっています。
まずはどんな手口があるのか知っておくことで,対策・予防につながるでしょう。

今回は,「振り込め詐欺」などの「特殊詐欺」の手口と,詐欺に遭わないための対策などについて解説します。

都市部での発生が多い特殊詐欺

警視庁のデータによると,2022年の特殊詐欺の発生状況について,認知件数が17570件,その被害総額は370億円以上になると公表しています。
特に東京,神奈川,千葉などの首都圏,そして大阪といった人口の多い都市部で多く発生していることがわかります。
また,特殊詐欺にも種類がありまして,初期の頃からあるオレオレ詐欺のほか,大きく分けて架空料金請求詐欺,還付金詐欺などがあります。
このうち,一番多い特殊詐欺の種類が「オレオレ詐欺」で,全体の55.3%になります。
参考:令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警視庁)

振り込め詐欺は深刻な社会問題であり,誰にでも身近に起こりうる犯罪であることがわかります。

振り込め詐欺の手口とは?

特殊詐欺はどんどん巧妙化しており,その種類も複雑化しています。
特に広く知られている詐欺の手口について,大きく分けて以下のような分類になります。

  • オレオレ型特殊詐欺
  • 架空料金請求詐欺
  • 融資保証金詐欺
  • 還付金詐欺

それぞれの詐欺の手口は,下記のような特徴があります。

オレオレ型特殊詐欺

「オレオレ型特殊詐欺」は,特殊詐欺の中でもよく知られている詐欺の一つであり,振り込め詐欺の代表的な手口です。

オレオレ型特殊詐欺の代表的な手口は,その名の通り「俺だよ,俺」といったように親族や身近な友人,警察官,弁護士等を装い,親族が起こした事故や事件などの示談金等といった名目で,現金を口座に振り込むように指示し,金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。
警察庁のWebページによりますと,この類型の種類には,いわゆるオレオレ詐欺の他に,「預貯金詐欺」,「キャッシュカード詐欺」なども含まれます。

「預貯金詐欺」とは,県や市区町村などの自治体や税務署の職員などと名乗り,医療費などの払い戻しがあるからと,キャッシュカードの確認や取替の必要があるなどの口実で自宅を訪れ,キャッシュカードをだまし取る詐欺です。
キャッシュカードの確認・取替が必要だと信じ込ませた上で,その後,銀行協会等を名乗る犯人から電話があり,「キャッシュカードを取りに行く」「手続きのため暗証番号を教えてほしい」などと情報を要求してきます。

「キャッシュカード詐欺」とは,最近非常に被害が増加している詐欺で,警察官などと偽って電話をかけ「キャッシュカード(銀行口座)が不正に利用されている」「預金を保護する手続をする」などとして,嘘の手続きを説明した上で,キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取る手口です。
電話での説明後に「キャッシュカードの確認に行く」などの名目で私服警察官や銀行協会職員等になりすました犯人が自宅を訪れ,被害者が目を離している隙に,あらかじめ用意しておいた偽のカードと本物のカードをすり替え,被害者が気づかない内に口座から現金を引き出してしまいます。
主に高齢者をターゲットにし,緊急性や事件性を装って冷静な判断をさせないよう,言葉巧みに振り込みを迫ります。

しかし,最近の特殊詐欺の標的は高齢者だけではなくなっているため,年齢にかかわらず,このような電話には警戒し,慎重な判断を心掛けましょう。

架空請求詐欺

郵便やインターネットを利用して,架空の事実を作り上げて不特定多数の人に対して料金を請求する「架空請求詐欺」も増えています。
銀行やクレジットカード会社などからの架空請求も多いようですが,特に裁判所や税務署など国の機関のように見せかけることで,なにか大変なことが起きているように思わせて,お金を振り込ませるという手口も多く見られます。

たとえば,差出人名が裁判所となっている封書が届き,なかには「債務を返済しないと強制執行する」といった文章が届くことがあるようです。
これまで借金をした覚えが一切ない場合は,すぐに詐欺だとわかるため無視できますが,過去に少しでも借金をしたことがある場合や,いま現在債務を抱えているような場合は「もしかして…?」と騙されてしまう可能性もあります。

融資保証金詐欺

「融資保証金詐欺」とは,融資を申し込んできた人に対して,保証金等を名目に現金を貯金口座等に振り込ませるといった手口です。
また,実際には融資しないにもかかわらず,融資する旨の手紙が届くこともあります。
「低い金利で多額の融資を受けられる」と信じ込ませ,現金が振り込まれると連絡が途絶えるという詐欺です。

還付金詐欺

「還付金詐欺」とは,税務署や社会保険事務所を装い「税金の還付金を受け取るため」などと言ってATMの操作を指示し,犯人の口座へお金を振込ませる手口です。
「医療費・保険料の過払い金がある」「未払いの年金がある」などといった内容の電話がかかってくるケースが多く,「払い戻しには期限がある」と焦らせるように指示してくるのが特徴です。

以上,ここに挙げた手口はまだほんの一部であり,特殊詐欺の種類は全部で10種類以上にものぼるといわれています。
こういった定番の特殊詐欺に加え,国内情勢や時代に合わせて次から次へとあらゆる手口が増えているようです。

たとえばマイナンバーカードの申請が始まった際には,市役所の職員を名乗って高齢者の自宅に訪問し「申請代行するのに料金がかかる」といってお金をだまし取る手口もありました。

今後も時代の変化や流れに合わせて,詐欺の内容も多様化していくことが予想されます。

振り込め詐欺の被害に遭わないためには

手口によって対策はそれぞれ異なるのですが,どの詐欺であっても共通していえるのが,「言われた通りにすぐには振り込まない」ということです。
たとえば「オレオレ型特殊詐欺」であれば,振り込む前にその本人に折り返し連絡をするようにしましょう。
本人と連絡がうまく取れない場合でも,一度信頼できるご家族などに連絡を取り,本当に支払う必要のある請求なのか,必ず確認するようにします。

さらに,振り込め詐欺と同様によく耳にするのが,「預貯金詐欺」と言われるものです。
金融庁や銀行職員などをかたって,キャッシュカードを渡すように指示し,暗証番号を教えるように言ってくるのです。
「医療費の払い戻しがある」とか「あなたの口座が狙われているからキャッシュカードを交換する」「手続きに暗証番号が必要」などと言葉巧みに,相手を不安にさせるようなセリフを並べてきます。

しかし,どんなことがあっても,キャッシュカード類を絶対に渡さないようにし,暗証番号も教えないことを徹底して欲しいと思います。

とにかく,少しでも違和感を感じたら,身近な人や最寄りの警察,金融機関などといった第三者に相談してみましょう。
まずはすぐに振り込まない,一人で判断しないことが重要です。

振り込め詐欺を見抜くポイント

振り込め詐欺の特徴として,「すぐに振り込まないと大変なことになる」「今すぐお金が必要」と緊急性をアピールし,相手に考える時間を与えない,ということが挙げられます。

また,架空請求や還付金詐欺などの場合は,税務署や年金事務所などが税金や年金などを還付するために,電話でATMの操作をお願いするような指示をしてくるようです。
そして,ここが大切なことですが,税務署や年金事務所からそのような指示は絶対にしません。
そのような誘導的な指示があれば,おかしいと思っていいでしょう。

詐欺かどうか疑わしい場合には,あえて質問を返すのも効果的です。
家族しか知らない個人的なことや,昔の思い出など,詐欺であれば答えられなくて当然のような話をしてみることです。
相手が戸惑ったり,不自然な返答をするようであれば詐欺を疑いましょう。
ただ,なんらかの形でなりすましている犯人が,本人の氏名や生年月日など個人情報をある程度取得している可能性もありますので,できれば事前に家族や親族で,緊急時の合言葉のようなものを決めておくといいかもしれません。

振り込め詐欺の手口を知り,しっかり予防しよう

振り込め詐欺にはどんな手口があるのかを知っておくことで,予防策につながると思います。
ただし,今回紹介した通り,その手法は年々多様化・巧妙化しているので,細心の注意が必要です。
少しでも疑わしい場合は,絶対にすぐに振り込まないこと,誰かに相談するようにすること,それを徹底してください。

また,警察庁でも特殊詐欺の専門ページもありますので,こちらも参照することもお勧めします。
警察庁「特殊詐欺対策ページ

ラジオ番組『コトニ弁護士カフェ』
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隔週で長友隆典護士&アシスタントの加藤がお送りしています。
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