ブログ

運転免許証の更新、忘れたらどうなる?うっかり失効6ヶ月ルールについて解説

『コトニ弁護士カフェ』2024年3月15日放送分

自動車の運転免許証は、誕生日の前後1ヶ月以内に更新手続きを行う必要があります。
これまでは、更新のために免許センターに早朝に行っても長い行列で、手続きに時間がかかかっていました。
しかし、2024年2月からは、特定の講習を除いて、免許更新手続きは原則として予約制になり、Web上で事前に日時を指定して予約できるようになりました。
それでも、ついうっかり更新を忘れていた…!という方も少なくないでしょう。
今回は、運転免許証の更新手続きを忘れた場合の対処やルール、そして失効中に運転してしまった場合の罰則について説明します。

運転免許証の更新、もしも忘れてしまったら

更新期限が切れてしまっても「うっかり忘れていた!」というケースの場合、都道府県の運転免許センター等で手続きをすればすぐに再発行してもらえることも。
ただし、期限が過ぎた日数によって救済措置が異なりますが、期間は1年以内が原則と定められています。

■更新期限から6ヶ月以内の場合

更新期限から6ヶ月以内であれば、一部の警察署や運転免許試験場で申請し所定の手続きを踏めば新しい免許証を受け取れます。
必要な手続きは、通常の更新と同じく、視力等の適性の検査、講習、そして写真撮影が必要です。
運転免許センター等の特定の場所では、その場で免許証を発行してもらえます。

■更新期限から6ヶ月以上1年以内の場合

更新期限から6ヶ月以上1年以内については別のルールがあり、申請手続きし所定の手続きを踏むと「仮免許」を取得した状態になります。
そのため、申請手続きの後は、免許証交付のために必要な学科教習と技能教習を受けて、本試験を受験して合格する必要があります。
また、失効から1年経過すると、このような救済措置は適用されず、またはじめから教習所に通って運転免許を再取得しなければならなくなるため、注意が必要です。

■海外渡航中の場合に失効した場合

海外渡航中に更新期限をすぎてしまった場合は、1年以上が過ぎていても規定の手続きで免許を再取得することができます。
その場合は、出入国の履歴をパスポート等で証明する必要があります。

失効中「無免許」で運転した場合の罰則

運転免許証の更新を忘れてしまうと、更新手続きをするまでは免許失効中、つまり「無免許」の状態になります。
そのままうっかり運転すると無免許運転となり、重い罰則が設けられています。

無免許運転にはいくつか種類があります。

純無免許(純無免)免許取得の交付を受けたことがない人が運転すること
停止中無免免許停止期間または有効期限切れ中に運転すること
取消無免免許を取り消しされた後、再度免許証の交付を受ける前に運転すること
免許外運転交付されている免許対象外の車種を運転すること

「うっかり失効」の場合は、「停止中無免」とされますが、違反行為として扱われます。その場合、刑事上及び行政上の処分が科されることとなります。
無免許運転は道路交通法第64条(無免許運転の禁止)「何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(中略)自動車又は原動機付自転車を運転してはならない」に反することになります。

また、同法117条の2の2では「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とも定められています。
ただし、「うっかり失効」と裁判で認められれば、無免許運転の罪に問われないこともあります。

刑事上の処分に加え、無免許運転の場合は行政上の処分もあります。
無免許運転は酒気帯び運転と同様、違反点数は25点です。
免許取消しとなる15点を即座に超えますので免許取り消しとなります。

そして,違反点数が25点で免許取り消しとなった場合、再び免許を取得するには欠格期間の2年間を待たなければなりません。
たとえ悪意のない「うっかり失効」だとしても、無免許運転によって免許停止が即時適用されてしまうと、原則として2年間は免許を再取得できない、ということになってしまいます。

運転免許証の更新はお早めに

免許の更新期間は、誕生日の前後1ヶ月ずつ、2ヶ月の期間があるので、つい後回しにしてしまいがちです。
うっかり更新を忘れてしまっただけで、特に危険運転をしたわけでなくても、免許を失い、さらに2年間免許を取得できないというのは非常に不便です。
仕事や生活上の必要性から車を毎日運転する方にとっては、本当に大変だと思います。
このような事態を避けるためには、更新手続きはできるだけ早めに済ませることが大切です。

また、近年では一部地域で優良ドライバー向けに「オンライン講習」が試験的に導入されています。
更新手続き自体は試験場などに出向く必要がありますが、そういった制度もあるので、ぜひ対象となる方はチェックしてみてください。

関連記事

  1. ナガスクジラの商業捕鯨が再開|捕鯨の歴史と新しい捕鯨母船
  2. いまなぜ「共同親権」なのか?これまでの単独親権制度を振り返る
  3. ビッグモーター除草剤散布事件の法的責任について
  4. 「振り込め詐欺」などの「特殊詐欺」に注意!その種類と手口を弁護士…
  5. 「マイナ保険証」12月から健康保険証廃止で本格的な切り替えへ
  6. スキー・スノーボードでの事故 法的責任は?第2回
  7. 相続登記の義務化について~過去の相続も対象に
  8. 手紙・メール・チャットの文章は誰のもの?法的権利について弁護士が…
PAGE TOP