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中東情勢が家計を直撃。ガソリンから医療品まで、物価はどうなる?

『コトニ弁護士カフェ』2026年5月29日放送分

トランプ関税から約1年、2026年は中東情勢の影響により、私たちの家計が大きく変化しています。
スーパーで何気なく手に取るラップやごみ袋、薬局で売られる医療用手袋、そして毎日使うガソリン。
これらすべてが今、中東の一つの海峡の状況に左右されています。

暫定税率廃止から一転、激変するガソリン価格


まずは、ガソリン価格について見ていきたいと思います。
昨年末の2025年12月31日に、ガソリン税の「暫定税率」が廃止されました。
1974年に「道路整備のための一時的な措置」として導入されたものが、なんと50年以上も続いてきたものです。
暫定税率の廃止によって1リッターあたり約25円の減税となり、今年1月から2月にかけてはガソリン価格が一時的に落ち着いていました。

しかし、今年の2月28日、アメリカとイスラエルがイランを攻撃したことをきっかけに、状況が一変しました。
イランが原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、原油価格が急騰し、ガソリン価格は3月16日には全国平均で1リッター190.8円と史上最高値を記録しました。
一部の地域では200円を超えるところもあったようです。

政府は3月19日から「燃料油価格激変緩和措置」いわゆるガソリン補助金を再開し、石油備蓄の放出と組み合わせてガソリン価格を170円程度に抑える緊急措置を実施しました。
IEA(国際エネルギー機関)加盟32か国も協調して約4億バレルの石油備蓄を放出し、結果として、4月下旬時点のガソリン全国平均は169.7円まで戻っています。

補助がなければ約200円台になっていたと見られますので、約30円の価格抑制効果が続いているわけです。
このように、上昇率が1割前後に抑えられているのは政府の補助措置の効果ですが、一方で、この補助金は原油高が続けば2〜3か月で約1兆円の財源を使い切るともいわれており、今後いつまで続けられるかはわかりません。

停戦合意後も「半閉鎖状態」が続く


4月8日には、米国とイランの停戦合意が報じられ、原油先物価格が10%以上下落するなど一時的に落ち着く場面もありました。
しかし、5月9日には、停戦は継続中とされながらも、ホルムズ海峡周辺でミサイルやドローンを使った実弾交戦が行われ、UAEへのミサイル着弾も報じられ、5月14日時点でもホルムズ海峡は選別通航・政治的許可が必要な半閉鎖状態が続いています。

日本の原油調達への対応としては、高市首相が5月分の原油需要の約6割をホルムズ海峡を経由しないルートで確保したと表明しました。

アメリカのシェブロン社が手配したタンカーがパナマ運河経由で米国産原油を届けるなど、代替ルートの確保が急ピッチで進んでいます。

また5月2日には太陽石油がロシアのサハリン2産原油をスポット調達したことも報じられており、封鎖後初めてロシア産原油を受け入れたケースとして注目されています。

さらに、5月に入ってからはカスピ海沿岸の産油国であるアゼルバイジャン産の原油の輸入や、メキシコ産原油の輸入量確保のニュースもあります。

日本は原油輸入の約94%を中東に依存していますので、こうした輸入先の多角化は重要な取り組みです。

医療品や日用品にまで広がる「ナフサショック」


ガソリン以外にも深刻な影響が出ています。

原油からはガソリンだけでなく「ナフサ」という物質も精製されます。ナフサはプラスチックや合成樹脂など石油化学製品の原料であり、現在深刻な供給不足に陥っています。
ガソリンには国家備蓄がありますが、ナフサには国家備蓄制度がなく、民間在庫はナフサ単体は封鎖前にはわずか20日分しかないとも言われました。

ナフサは非常に幅広い製品の原料として使われており、特に医療の分野では、透析に使うチューブや回路、点滴バッグ、注射器、医療用手袋などがナフサ由来の素材で作られています。
厚生労働省と経済産業省は3月31日に対策本部を設置し、人工透析に使う透析回路などが4月から8月にかけて供給不足に陥る可能性があるとの報告もあります。

さらに、私たちの身近な日用品への影響も広がっています。

ラップやポリ袋などポリエチレン製品が値上がりしているほか、食品トレーに使われる発泡スチロールの価格上昇から、スーパーのお弁当や総菜の価格にも波及しています。

家庭のごみ袋も5月下旬から3割以上の値上がりが見込まれているとも報じられています。
また、塗料や印刷インクの原料となる溶剤や樹脂も品薄状態が続いていることから、カルビーがポテトチップスのパッケージを白黒にすることを発表し、大きな話題になりました。
それ以外でも、インク量を節約するためにパッケージの文字を減らすなど、各メーカーがパッケージの簡素化を検討しているようです。

ただし、すぐにナフサがなくなるというのではないことに注意が必要です。
ナフサの在庫20日というのもナフサとして精製されたものの在庫という意味で、20日でナフサが無くなるのではないということに注意が必要です。
政府もナフサは現状でも年を超えて供給することができると発表しています。

中東問題は「遠い国の戦争」ではない


今回は、ホルムズ海峡という中東にある一つの海峡の状況が、日本のガソリン価格、医療現場の物資、台所のラップや買い物袋にまで影響を及ぼしています。
普段何気なく使っていたもの、当たり前に売っていたものが、国際情勢の影響でこのように急激に変化することを、あらためて実感しています。

私たち一人ひとりにできることは、まずは省エネや無駄な消費を見直す意識を持つことです。
ガソリンをできるだけ使わないよう、在宅勤務や公共交通機関を利用するのもひとつです。

また、停戦期限の動向など中東情勢は刻一刻と変化しており、それを受けてガソリン価格や政府の対応策など、情報も日々変わっていますので、常に最新の情報をチェックすることも大事です。

ナフサ不足への不安から、ごみ袋やラップなど一部で買いだめに走る方の姿もみられるようですが、必要以上に不安を煽るようなことはせず、冷静な行動を心がけていただきたいと思います。

▼参考
ガソリン「暫定税率」廃止で減税へ!50年続いた制度がなくなった理由と生活・経営への影響を解説
最近1年間のレギュラー価格|e燃費
日本の5月原油調達、前年実績の6割を輸入で確保 残りは備蓄で|Reuters
佐藤副長官、インク材料不足で「企業と意思疎通」 カルビー白黒包装|日本経済新聞
油揚げ包装、ナフサ調達難で白黒に…モヤシの包装も文字数減らしてインク量を半分以下に|讀賣新聞
中東対応を踏まえた石油由来の化学品・製品等の状況(6月2日時点)|経済産業省

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