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北海道の地域振興-ニセコの事例

『コトニ弁護士カフェ』2019年11月29日放送分

- 本日は,ウィンターシーズンに突入したニセコの発展についてお話します。

長友:私はスノボが大好きなので,ニセコも毎年行く機会があります。あとは,ニセコ周辺は外国人が多いことから,私が英語で対応できる弁護士ということで,相談がある機会も多いです。ニセコの勢いはとどまることがなくて,まだまだ外資の企業がどんどんホテルやリゾートを建設しています。日本でもあそこまで地価が急騰している市町村はないですから,すごいことですね。

- ニセコの人口が一番多くなるのは,やはり冬の季節なんでしょうか?

長友:もちろん夏も色々なアクティビティや自然が楽しめるのがニセコだけど,メインはやっぱり冬のパウダースノーでしょう。
Japow“って言葉知っていますか?Japan Powder Snow=日本の極上のパウダースノーという意味を表す略語らしいです!
ニセコが世界的にも有名になったのも,もともとはオーストラリアやニュージーランドの人たちが,あちらがーズンオフの夏の期間に,ニセコの素晴らしいパウダースノーを求めてやって来るようになったのがきっかけです。今ではアジア系の企業も進出してアジアからの観光客も増えていますし,世界的なリゾート地になりましたよね。

-ジャパウ?初めて聞きました!
 ただ,ニセコは外国化してしまって地元の道産子の居場所がない・・・という懸念の声も一部あるようですね。

長友:確かにそういう部分はあります。たとえば,外国人が経営する外国人のためのお店が増えて,メニューも英語,従業員も英語しか話さないとかね。ラーメン1杯2千円とか・・・物価も高いですよね。ホテルやコンドミニアムも多いですが,やはり外国人客が多いため,英語が話せないといけないから,日本人よりの外国人を雇用するケースもあるでしょう。ニセコに行くと,ある意味「外国に行った気分」を味わうことはできるかもしれませんが,実際には,もともとニセコが好きだったのに,すっかり行きづらくなってしまったというスキーヤーやスノーボーダーたちもいるでしょう。

そのような外資の参入を快く思わない人もいるかもしれませんが,じゃあ外資が参入しなかったら,ここまでニセコを発展させることはできたでしょうか?ニセコに限らずですが,日本人による日本人のための・・・という意識では,なかなかもう発展は難しいと思っています。日本は少子高齢化で人口はどんどん減っています。同じことをしていても日本人のお客さんは減る一方で,土地も余っていきますよ。そうなると外国人の誘致というのは自然の流れですよね。特に北海道全体の人口減少と地方の過疎化は急激に進んでいますので,外国からの観光客や投資は不可欠だと思います。

- 日本の法律では,日本人も外国人も同じように土地を取得することができるのでしょうか?

長友:外国人の土地の所有に関する法律は,国によってそれぞれ異なります。日本には「外国人土地法」という法律があって,国防上必要なところは取得を制限することができるのですが,それを除くと基本的には日本人も外国人もまったく同じように土地の売買,所有,相続ができます。国籍やビザの種類なども関係なく所有が認められます。 売主と買主で契約成立すれば,それを阻止したり制限したりする法律はありません。
ただし,日本の不動産を持っているからといって,日本に居住することができるとか,特別なビザが認められるとか,そういったことは一切ありません。
また,外国籍の外国人が日本の不動産を購入した場合,外為法において国際間の「資本取引」という扱いになるので,所定の手続きが必要です。

- なるほど。日本人も外国人も同じく不動産を取得・所有できるということですね。

長友:その通りです。仮に外国人に限って何か土地の取得制限をするのであれば,同じく日本人にも制限しなければならないと思います。

日本国の良いところは,誰でも平等に権利がある自由な国であるところです。国籍や人種によって非合理的に制限することは差別に繋がりますし,憲法違反になりますね。私個人としても,外国人だからと合理的な根拠もなく文句を言うべきではないと思います。もちろんそれは日本人同士でも同じです。
外国人の投資が無ければ,いまのニセコや富良野のような外国人からの観光客も来なかった,さびれたままだったかもしれない。
とはいえ,日本人が参入できなくなるような日本の制度や文化を無視した投資はどうかと思うので,日本人も外国人も協力して地域振興ができればいいと思います。

-ありがとうございました。

ラジオ番組『コトニ弁護士カフェ』
毎週金曜日10時30分から三角山放送局で放送中!
隔週で長友隆典護士&アシスタントの加藤がお送りしています。
身近な法律のお話から,国際問題・時事問題,地球やお魚の話まで,様々なテーマで約15分間トークしています。
皆様からの身近なお悩み,ご相談などのリクエストもお待ちしております。
三角山放送局 reqest@sankakuyama.co.jp または当事務所のお問い合わせフォームでも受け付けております。

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