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セールス電話対処法 しつこい勧誘は法律違反!|弁護士が解説

『コトニ弁護士カフェ』2025年4月4日放送分

新生活がスタートする4月。この時期になると勧誘の電話や訪問販売が増える傾向にあります。

新しく一人暮らしを始めた方や,引っ越しをしたばかりのご家庭は狙われやすい状況です。
従前から,新聞,不用品回収,電力・ガスの切り替えなど,生活に関係する業者からからの勧誘が多かったのですが,最近ではインターネット回線の契約,ウォーターサーバー,投資関連,リフォームなど様々な業者からアプローチがあります。

これは,「新生活を始める人は新しいサービスに加入する可能性が高い」という心理を利用しています。実際に,新居に引っ越したタイミングでインターネット回線を契約する人は多いでしょう。
だからこそ,業者は「この時期を狙えば契約を取れる」と考えて,訪問販売や電話勧誘を強化するのです。

今回は,そんなしつこい電話勧誘について詳しくお話しします。

しつこい電話勧誘は法律違反になる

実は何度も電話をかけてくる行為は「特定商取引法違反」になる可能性があります。

2009年の特定商取引法の改正により、「一度断った消費者に対して、再度勧誘してはいけない」というルールが明確になりました。これを「再勧誘の禁止」といいます(特定商取引法3条の2第2項など)。

特定商取引法3条の2第2項
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない 

具体的には、電話勧誘販売や訪問販売では、消費者が「いりません」と伝えた時点で、それ以上の勧誘をしてはいけないと決められています。
また、氏名や電話番号などの個人情報の取り扱いについても、利用する必要がなくなった場合、利用者本人が利用停止・消去の請求をできるようになりました。

そのため、本来であれば一度でも「不要」と伝えたら、それ以降の勧誘は違法になります。
何度もしつこく電話をかけてくる業者は、特定商取引法違反に該当し、業務停止命令などの行政処分を受ける可能性があるのです。

▼参考
特定商取引法ガイド|特定商取引法とは

効果的なセールス電話対処法

セールス電話への効果的な対応方法としては、はっきりと次の2点を伝えることが重要です。

  1. 「私の名前や電話番号などの個人情報を削除してください」
  2. 「興味がないので二度と電話をかけてこないでください」

それでも何度も電話をかけてくる業者に対しては、「特定商取引法違反になりますよ」と伝えるだけでも効果があります。
改善されない場合は、消費者庁や消費生活センターに相談するのも一つの手段です。

私たちの個人情報はどうやって知られている?

かつては、NTTが個人の電話番号を集めて、電話帳(ハローページ)として加入者に配布していたので、ご家庭の電話番号はほぼ開示されていました。
住所も書いてあり、個人情報がかなり公開されていた時代もありました。
ハローページは2023年まであったのですが、ほとんど使われなくなっていました。

現在でも、私たちが気づかないうちに、さまざまな場面で個人情報が収集されています。
その背景には、「名簿業者」の存在があります。
名簿業者とは、個人の電話番号や住所、年齢、職業などの情報をリスト化し、企業に販売している業者のことです。

企業が「30代の男性向けに投資商品を勧誘したい」と考えたとき、名簿業者から「30代の男性のリスト」を購入すれば、効率的に営業をかけられるわけです。名簿を販売すること自体は違法ではありませんが、個人情報の保護・管理については法律で定められています(個人情報保護法)
たとえば、企業が名簿を購入する際には、そのデータが適正に取得されたものかを確認・記録する義務があります。

▼参考
政府広報オンライン「個人情報保護法」を分かりやすく解説。個人情報の取扱いルールとは?」
個人情報保護委員会「マンガで学ぶ個人情報保護法」

個人情報を守るためにできること

個人情報を守るためには、まずは基本的なこととしては、電話番号の公開を最小限に抑えることです。
個人の方で電話番号を公開している方はあまりいないと思いますが、SNSやブログなどでの電話番号公開は、迷惑電話のリスクを高めますので、特に不特定多数が閲覧可能な場所では避けるようにしてください。

また、いろいろな場面で個人情報を提供する場合には、少し気をつけてみましょう。
たとえばイベントやネット上のキャンペーンなどで、無料プレゼントや無料特典を提供して、アンケートや個人情報を入力させるケースもたくさんあります。
その際には、利用規約に「営業目的での連絡」についての記載がないかを確認することが重要です。

よく読むと、キャンペーンに関係のない関連会社のサービスの案内などを受けることに同意してしまっていることもあります。自分の個人情報は、自分で守る意識を持つことが大事です。

最近では「オプトアウト規制」も強化されています。これは、「個人情報を第三者に提供するときは、本人の同意が必要になる」というルールです。つまり、自分の知らないところで個人情報が利用されるリスクは、以前よりも減ってきているといえます。

個人情報保護委員会「オプトアウト規定による第三者提供の届出」

とにかく身に覚えのない電話が増えたと感じたら、個人情報保護委員会のホームページで確認するといいでしょう。

個人情報保護委員会「漏洩等の対応とお役立ち資料」

日々の小さな心がけや対策が、大切な個人情報を守ることにつながります。

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