令和2年8月28日,安倍総理が辞任を表明しました。
連続在任日数の歴代最長記録を更新した直後のニュース。
コロナ対策や経済政策など様々な課題を残し,今後の政権はどうなるのでしょうか?
まずは連続7年8カ月,本当にお疲れ様でした。
先の平成18年~19年の1年間も含めると通算8年8カ月となり,憲政史上最長の在任期間です。
8月24日には連続7年8カ月という在任期間が安倍総理の大叔父にあたる佐藤栄作元総理を抜いて歴代1位になったとニュースになったばかりでした。
私の記憶ではこ私が物心つくような年齢になってから,れほど長い在任期間の総理は,中曽根さんと小泉さんしかいませんでした。
それぞれ5年前後ですね。
あとは数年とか数か月でコロコロ変わっていて,その度に外国の首脳も大変だったことでしょう。
この7年8カ月,世界情勢も国内情勢もめまぐるしく変化する中で,安倍政権は様々な批判を受けてきました。
しかし,安全保障に関する重要な法案をいくつも通してきて,消費税を2回上げても選挙に勝ってきました。
6回の国政選挙では一度も負けたことがなく,全て自民党の圧勝。
外交面では,悲願であった北方領土問題や拉致問題は解決できなかったけれども,プーチン大統領やオバマ米大統領,トランプ米大統領とも信頼関係を築き,対等に対話をした珍しい総理だったと思います。
このような総理は今後なかなか現れないかもしれません。
最近ではコロナ対策でも批判が大きくなっていました。
政治というものは誰が何をやっても一定数の批判の声は避けられないのかもしれません。
今回の安倍総理の辞任は,持病である潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)が悪化したことが理由です。
平成19年の辞任の時もこの持病の悪化が原因でした。
潰瘍性大腸炎は指定難病のひとつで,平成26年のデータでは日本に約18万人の患者さんがおり,年々増加しているそうです。
この病気は完全に治すことができない難病なので,薬で症状をコントロールするしかありません。
このような病気を抱えながら,多大なストレスと秒刻みのスケジュールをこなし,国民のために働いてくれたことにまずは素直に感謝するばかりです。
潰瘍性大腸炎という難病で苦しんでいる人たちにとっても,病気と向き合いながらも大きな仕事をすることが出来るという勇気を与えるきっかけなったのではないでしょうか。
安倍総理の辞任を受けて,自民党総裁選が行われます。
9月8日に告示され,石破茂元幹事長,菅義偉官房長官,岸田文雄政調会長の3氏が立候補しています。
安倍総理の政策を継承する意向を示している菅氏が有力という報道が多いです。
一方、石破氏はずっと安部総理の政策に反対をしてきたので,ここで石破氏が選ばれるとこれまでの政策が急に変更される可能性があります。
いま一番重要な課題である新型コロナウイルス感染症対策や経済政策が必要とされている中で,「どのようなリーダーが求められているか」というところが分かれ目になるでしょう。
総裁選挙は原則,国会議員と全国の党員の投票が反映されます。
しかし,今回のように任期の途中で急きょ総裁が欠けて総裁選が行われる場合,そして緊急性があると判断された場合は,党員・党友の投票を省略できるという規定があります。
9月1日の報道では,今回の総裁選は「緊急事態にあたる」として党員投票を行わずに,国会議員と都道府県連の代表による投票で選出すると決定しました。
9月14日に投開票が行われ,16日に新しい総裁が選出される予定です。
国会議員の票と47都道府県連の代表各3名が投票するので,通常の総裁選と投票できる人と投票数も変わってきます。
また,総裁の選出方法についてもルールがあります。
開票時に1位の候補者の票数が有効投票数の過半数に達した場合,その1位の候補者が総裁に選ばれますが,得票数で1位になった候補者の有効投票数が過半数に達しない場合,1位と2位の候補者で再度,決選投票が行われます。
地方の党員・党友の方々が投票できないことで,地方で強い候補者にとってはデメリットになるかもしれません。
たとえば石破氏の地元は鳥取県ですが,実際に今回すでに自民党鳥取県連から党員投票を求める申し入れがあったようです。
地方で強い候補者にとっては,地元の党員票数を獲得できないというのは,大きな影響があると思います。
自民党はあくまで政党であって,国民全体の代表ではありません。
自民党の組織として総裁選挙の方法を決めたのでしたら,それは組織内部の自治の問題です。
どのような規定であっても,もちろん違法にはなりませんし憲法上も問題ありません。
とはいえ,自民党の総裁が選ばれることは,事実上総理大臣が選ばれることになるので,国民としても関心が大きいのは確かです。
次回の放送回は9月18日なので,その頃には新しい総理大臣が決定していることでしょう。
引き続き,ラジオで発信していきたいと思います。
【補足】
各都道府県の3票の扱いについて、44都道府県連では3票の投票先を決めるための予備選挙が実施されることになりました。得票数に応じて3票を配分する方式と、得票数が1位の候補者に3票を配分する方式と、配分方法は各都道府県連によって異なります。また、予備選挙は実施しないものの、意向調査として党員投票を実施する地域もあるようです。
参考記事「党員なのに、投票できない」NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/44195.html
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