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台風19号を振り返る

『コトニ弁護士カフェ』2019年10月18日放送分

-10月12日から13日にかけて台風19号が日本を直撃しました。関東地方では先月の9月9日に台風15号が千葉県などに大きな被害を残したばかりでしたね。

長友:まずは被災者の方々のご無事と,1日も早い復興を願います。本当に今回の台風は驚きました。あのような巨大台風が関東を直撃するというのは今までなかったですよね。

-先生は九州ご出身ですが,九州地方はやはり台風は多いのですか?

長友:九州は大雨もしょっちゅうだし,台風も大小様々ですが台風は毎年来ます。私が九州に居た頃,今回の19号ぐらいの台風が上陸したこともあります。瓦が紙のように吹き飛んだりします。私の実家も,隣の家の屋根の上に設置してあった太陽熱温水器が飛んできて,家の壁が崩壊したことがありましたね。今までで自分の家で大きな被害で記憶にあるのはそのぐらいですが,台風で木が折れたり電柱が倒れたりするのは珍しいことではありませんでした。信号なんかもあっち向いたりしてましたが,いつものことのように思っていましたね。

長友:あのような巨大な台風は今まで沖縄・九州・四国くらいにしか来たことがなくて,関東に来るということは滅多にありませんでした。数年前から全国的にゲリラ豪雨が増えているように,この台風の動きも,温暖化などの異常気象の影響なのかもしれないと感じます。

- 今回の台風は雨の量がすごかったですね。1日で数か月分の雨が降った地域もあるようです。

長友:今回は集中的豪雨で多くの川が増水して,氾濫してしまったり,千曲川のように堤防が決壊したことによって広いエリアで浸水の被害が出てしまいました。ただ東京都内に関しては,予想よりも被害は抑えられたのかなと感じます。東京はマンションや住宅も密集していて人口が圧倒的に多いですから,あのような大型台風が直撃すると最大でどのぐらいの被害になるのかと思って心配していました。東京地方ではかつて多摩川なんかが大洪水でとんでもないことになって,河川改修など昔よりも治水がしっかりされているのかなと思います。

-このような大型台風がまた関東や東北に来る可能性は今後もあるのでしょうか?

長友:私は気象の専門家ではないのではっきりわかりませんが,実際に今回起きたということは,今後も可能性はあるでしょう。今まで台風の被害を受けたことがない皆さんも準備や対策が必要です。

-そうなると,いったい何処にいたら安全なのか?というところに関心が集まりますね。今回のような大雨による河川の氾濫や浸水被害ということであれば,水が来ない高い場所,たとえば高層マンションは安全なんだろうか?という風にも考えられます。

長友:たしかに高い場所に居れば水には浸からないというのは正しい発想ですが,今回の川崎市武蔵小杉のタワーマンションのように,居住階は無事だったものの,停電のため水道が止まったりエレベーターが使えなかったりということはありますよね。高層階を階段で上り下りするのは相当大変だと思います。高層マンションにはそういったリスクがありますね。

長友:札幌テレビ塔の展望台が約90Mの高さで,高層マンションでいうと約30階ぐらいの高さになると思います。あの高さを,仕事に行くとか買い物に行くとかで毎日何度も上り下りするかと思うと,ちょっと無理ですよね。
高層マンションだから安全とか,戸建ては低いから危ないとか,一概には判断できませんね。自身の環境や住まいに応じて,日頃から備えておくことが大切ですよね。

-このような災害で家が壊れてしまったり被害を受けてしまった場合は,加入している火災保険で補償が受けられますよね。ただ,たとえば行政の治水対策が不十分だったのではないかとか,誰かの家のものが飛んできて被害を受けたとか・・・自然災害そのものではなく,それに派生して起きたことによる被害の場合,どのような補償になるのでしょうか?

長友:台風15号で,ゴルフ練習場の鉄柱が倒れて近隣の家を壊して,撤去もしていない状態で,補償もしない・・・ということがまさに問題になっていますね。

-原因が自然災害であれば,法的な責任はないのでしょうか?

長友: 不可抗力の自然災害の場合はなかなか他に法的責任を問うことは難しいですよね。 あのゴルフ練習場の住民説明の中にもあったように,自然災害の場合は基本的に自身で加入している火災保険や地震保険でカバーするということが前提なんです。ただし,そもそも鉄柱が老朽化していて安全な状態ではなかったとか,台風が来ることがわかっていたのにネットを外さないでそのままにしていたとか,ゴルフ場側に瑕疵や過失が認められる場合は賠償責任が生じることもあり得ます。

長友:ただし,問題は支払い能力があるかどうかです。資産が無かったり,支払い能力がなければ,たとえばゴルフ練習場の会社に責任があっても,結局お金は取れない。そうであれば,やはり自分自身で保険に入っておくこと,近辺にそのような危険物がある場合は,災害が起こる前に安全性について協議をしておいたほうがいいかもしれません。直接協議することが難しいという時は,最寄りの弁護士さんに相談されるといいと思います。

-ありがとうございました。日頃から災害や危険を予測して備えておくことが大切ですね。

ラジオ番組『コトニ弁護士カフェ』
毎週金曜日10時30分から三角山放送局で放送中!
隔週で長友隆典護士&アシスタントの加藤がお送りしています。
身近な法律のお話から,国際問題・時事問題,地球やお魚の話まで,様々なテーマで約15分間トークしています。
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三角山放送局 reqest@sankakuyama.co.jp または当事務所のお問い合わせフォームでも受け付けております。

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