雪解けが進み暖かくなるにつれて,自転車に乗る人が増えてきます。
自転車は運転免許不要なため,子どもから高齢者まで,私たちの日常生活で最も身近な乗り物といえるのではないでしょうか。
2023年は道路交通法が一部改正され,ヘルメットの着用に関する規定が変更されました。
さらに,2023年末には自転車の取り締まりが強化され,新たな罰則として「青切符」が導入されました。
そこで今回は,自転車の交通規則や新しい罰則について説明していきます。
2023年に改正されたのは,道路交通法の第63条の11です。
【改正前】児童や幼児にヘルメットの着用を努めさせる義務
【改正後】年齢に関わらず,全ての自転車利用者にヘルメットの着用を努めさせる義務
1 自転車の運転者は,乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
引用:道路交通法第63条の11
2 自転車の運転者は,他人を当該自転車に乗車させるときは,当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は,児童又は幼児が自転車を運転するときは,当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
「努めさせる義務=努力義務」ですので,ヘルメットを着用していないからといって,罰せられたりすることはありません。
ただし,警察からヘルメットを着用するように注意や指導を受けることはあると思われます。
言い換えますと,この規定は,自転車を運転するご自身の安全のためにヘルメットを着用することを奨励するものです。
実際に,自転車の死亡事故の約半数が頭部への怪我が原因であるという統計データがあり,ヘルメットをかぶることで,万が一の際に命を守る可能性が高まります。
改正直後には話題になり,ヘルメットに見えない帽子風のものや,さまざまな商品を見かけました。
特に子どもを中心に徐々にヘルメットを着用している人が増えているようですが,実際にはまだまだ着用していない人が多いという印象です。
自転車に関するルールでは,罰則が強化される方向性が示されています。
2024年3月5日に,自転車による交通違反への反則金制度の導入を柱とする道路交通法改正案が閣議決定され,近い将来に悪質な違反には反則金が科されることになりました。反則金が科されるというのはいわゆる「青切符」のことです。
近年,車を含む交通事故の総数は減少していますが,自転車による事故は増加傾向にあり,重大な事故や死亡事故のうち7割以上が自転車側の違反が原因とされています。
信号無視や前方不注意などがその一例です。
従来,飲酒運転や酒気帯び運転は「赤切符」として刑事罰の対象でしたが,新たに「青切符」を導入することにより,さらなる罰則及び取り締まりの強化が行われることとなります。
自転車を運転するうえで禁止されている行為は以下の通りです。
反則金額は違反の内容によって異なり,5000円から12000円程度と言われています。
また,酒気帯び運転や携帯電話使用による危険な運転は従前どおり刑事罰が科せられる「赤切符」の対象となりますので,絶対に避けるべきです。
電動キックボードは自転車と同じように簡易な乗り物として,その利便性が注目されている乗り物です。
以前は通常の原動付自転車と同じ扱いで,原付免許が必要で,通行できるのは車道のみでしたが,2023年7月1日に改正された道路交通法では,電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として規定されました。
そのため,以前はヘルメットの着用も,電動キックボードの大きさや性能にかかわらず義務付けられていましたが,2023年7月に規制が緩和され,最高速度20km以下などの条件を満たす電動キックボードは免許不要となり,一部歩道の通行も可能になりました。
ヘルメットの着用も努力義務とされましたが,自賠責保険やナンバープレートの装着は今も必要です。
電動キックボードは都市部などのシェアリングサービスで利用されることが多く,需要も増えていますが,危険運転や事故も懸念されています。
今後は自動車に乗る人が減って,電動自転車よりももっと気軽に乗れる電動キックボードの需要が増えるかもしれません。
自転車は誰でも気軽に乗れる乗り物ですが,思った以上にスピードが出ますし,衝突すれば車と同じぐらい危険です。
免許も不要で誰でも気軽に乗れる乗り物だからこそ,油断せずに常に安全運転を心がけることが大事です。一旦停止や信号は必ず守るようにお願い致します。
特に,自転車を運転中にスマホを操作している方を見かけることがあります。通話やメッセージのチェックなど,一時的な行為でも,「少しぐらい大丈夫」などと考えず,スマホの操作は必ず停止中に安全な場所で行いましょう。
また,地図アプリを見るためにハンドルにスマートフォンを固定する方法もありますが,これが前方不注意につながる可能性がありますので,こちらも運転中に注視しないことが大切です。
そして,万が一の事故の際に少しでも自分自身や相手へのダメージを抑えるために,法律で着用が努力義務となったヘルメットはもちろんのこと,小さい子供や高速運転をする際等にはプロテクターなど安全な装備をすることが重要です。
自転車や電動キックボードを利用する際は,安全運転・安全装備を心がけてください。
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