2024年12月2日から,マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組みへの本格的な移行が始まり,従来の保険証の発行が廃止になります。
すでに9割以上の医療機関や薬局がマイナンバーカードでの受診に対応していますが,このブログを書いている2024年11月時点では通常の保険証を使っている方のほうが多い状況です。
今回は,マイナ保健証について,メリットやデメリットなどについてお話しします。
マイナ保険証を使う大きなメリットとして,データ共有に同意された場合,過去の診療情報や薬剤情報,健診結果などの正確なデータを保管・共有できることが挙げられます。
複数の医療機関を受診するときなど,医師が過去の処方や受診歴をすぐに確認できるので,重複した処方や飲み合わせが危険な薬を避けることができます。
特に高齢の方や持病がある人にとって,薬が重複するリスクは大きく,そうした点でも安心できます。
旅行先などのトラブルで急に病院を受診しなければならなくなった場合も,初診となる医師でもすぐにその人のこれまでの受診情報やアレルギーの有無等を確認できるので,トラブルを避けやすくなります。
事件や事故に巻き込まれて救急車で運ばれることになったようなケースでも,マイナ保険証で診療情報や薬剤情報を確認し,医療機関とスムーズに連携が取れます。
突然の病気・ケガによる手術や入院など,高額な医療費が発生した場合でも,事前の申請や高額な立て替え払いをせずに,高額療養費制度が適用され一定額以上の支払いがその場で不要になります。
また,マイナ保険証を利用することで,医療費のデータが自動的に記録されて領収書の保存義務もないので,手間が大幅に減ります。
一年分の領収書を自分で保管して申告する必要がなくなるので,医療費控除の手続きも現在より簡単にできるようになります。
具体的なメリットなどについては,厚生労働省が紹介しておりますので,厚生労働省のページをご参照ください。
参考:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット」
マイナ保険証のデメリットとしては,まだすべての医療機関がマイナ保険証に対応しているわけではないことです。
2024年3月時点では90%の医療機関で対応できるようになっていましたが,まだ一部マイナ保険証に対応していない医療機関があることが事実です。
これまでの保険証でも同様ですが,マイナンバーカードにも有効期限があり,期限が切れると使えなくなります。
マイナンバーカード自体の有効期限は10年,未成年者の場合は5年です。
有効期限の通知書が事前に届くので,忘れずに更新する必要があります。
また,マイナンバーカードの期限が切れてしまったり紛失してしまったりした場合,その間は健康保険証として使うことができません。
その場合は再発行の手続きが必要となりますが,これまでは受け取りまでに1ヶ月程度かかっていましたが,令和6年12月からは最短5日程度での再発行が可能になる予定です。
この期間に医療機関を受診するときは,医療機関で「被保険者資格申立書」という書面をもらい,申立書に氏名や加入している健康組合などを記入して窓口で提出すれば受診が可能です。
一方で,マイナ保険証システムの不具合で保険証が使えないなどのケースがいくつか報告されています。
全国保険医団体連合会によると,5~8月に医療機関で起きたトラブルのうち,1万242件の回答の69.7%の医療機関が「トラブルがあった」としています。カードリーダーがうまく作動しない,通信障害で情報が正しく読み取れないことがありました。
他にも,名前や住所の漢字が黒丸「●」で表示されてしまうケース,保険資格が確認できず,いったん患者に医療費の「10割負担」を求めたケース,自分のマイナ保険証なのに他人のデータが紐づけられていたというケースもありました。
参考:テレビ朝日「トラブル続くマイナ保険証 医療現場で混乱 「使うと便利」でも「紛失心配」の声も」
マイナ保険証は,医療のDX化の推進と,普及率が低迷していたマイナカードの取得を加速させるのが目的です。
より多くの方に安心して使ってもらうには,再発行の迅速化やシステムの安定性を高めることが重要です。
マイナンバーカード自体について,まだ作りたくない,持ちたくないという考えの方も一定数いますので,保険証としての役割を持たせることも大事ですが,マイナンバーカードそのものの安全性や利便性をしっかり理解してもらうような取り組みも引き続き必要と考えています。
参考:政府広報オンライン「マイナ保険証 2024年12月2日マイナ保険証を基本とする仕組みへ。」
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