ブログ

国際的な家族の問題②国際離婚と子供の親権

前回のブログでは,国際結婚と子供の国籍についてお話させていただきました。

日本全体の結婚件数のうち,国際結婚の割合は全体の約3%ということでしたが,では「離婚」についてはどうなのでしょうか?
また,国際離婚でお子さんがいる場合に起こりうる問題についてもお話したいと思います。

日本の離婚件数と国際離婚の割合は?

統計によると,平成29年の日本全体の離婚件数は約21万件,そして国際離婚の件数は約1万1千件でした。
つまり国際離婚の割合は全体の約5%です。
離婚が20件あったとして,そのうち1件は国際離婚という計算になります。

国際離婚の手続き

※ここでいう国際離婚の手続きは,日本国籍を持つ日本人と外国籍を持つ外国人が,日本国内で離婚するというケースに限らせていただきます。

前回のブログでは,日本人と外国人が結婚する場合は,日本での結婚手続きに加えて,相手国での結婚手続きも必要というお話をしました。
離婚についても同じ手順になり,まずは役所に離婚届を提出して,「離婚届受理証明書」という書類をもらいます。それを相手国の言語に翻訳し,大使館や領事館に提出することで,相手国でも離婚の手続きが完了します。
しかし結婚の時と同様に,離婚についても相手国の法律によって異なりますので,確認が必要です。

日本は離婚しやすい国?

日本では「協議離婚」といって,お互いの合意があれば,離婚届を提出することで,離婚が完了します。厚生労働省の離婚に関する統計資料によると,平成29年の協議離婚の数は,離婚全体の87.2%でした。つまり,世の中の離婚のほとんどは協議離婚ということですね。そういった意味では,日本は大変「離婚しやすい」国といえます。
(もちろん離婚は大変です。人生の一大事件ですし,精神的にも経済的にも大きなダメージになることもあるでしょう。ここでいう「離婚しやすい」というのは,あくまでも手続き上は簡潔に完了することが可能である,という意味です。簡単に離婚できるという意味ではありませんので,誤解の無いようお願い致します。)

世界には離婚できない国もある!

なぜ私がこのような言い方をするかというと,実は世界には協議離婚を認めていない国が数多くあるからです。多くの国では裁判上の離婚しか認められず,裁判所に離婚を申し立てる前に法的別居期間というのを定めている国もあり,離婚に対するハードルがとても高いのです。
更に,フィリピンのように離婚そのものを認めていない国もあります。私たち日本人にとっては信じられないかもしれませんが,フィリピンには「離婚」というものが無いのです。しかし昨今のグローバル化によって国際結婚・国際離婚が世界的に増えている中で,少しずつ状況も変わってきています。
最近のフィリピンの最高裁判決では,日本での協議離婚を有効とする判決がありました。また,フィリピン国内でも,「離婚」を求めるのではなく,「婚姻の無効」を求めるという形で,実質的に結婚を解消するという方法もあるようです。つまり「離婚」するのではなく,「そもそもあの結婚は無効だった」ということを訴えるんですね。

国際離婚:子供の親権

親権とは,民法818条で規定されている,成年に達しない子供に対する親の権利や義務のことをいいます。この権利や義務とは民法820条に記載されているのですが,子供を監護・教育をする権利や財産を管理する権利義務となります。そして,子どもは親権者が指定する場所に住むことが法律上定められています。
そうなると,離婚をするときに,どちらが親権をとるかは子供の将来にとって重要な意味を持ちます。どのように教育し,どこで住まわせ,どのような生活をおくらせるかは全て親権者が決めることになり,親権をとれなかった親には原則として権利がなくなってしまいます。そこで国際離婚となると,たとえば外国人の配偶者が親権を取った場合,そのまま相手の国に連れて行かれてしまっても,原則として何も言えなくなってしまうんです。

ハーグ条約とは

国際離婚の問題で絶対に知っておかなければならないのが「ハーグ条約」です。
ハーグ条約というのは離婚後にパートナーの了承を得ることなく本国に連れて行ってしまうということを防ぐ目的で,正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」といい,日本は2014年にこの条約に加盟しています。ハーグ条約に加盟する前は,日本から外国に子供が無断で連れて行かれてしまった場合,自力で居場所を探し出して,自分で裁判所に返還請求をしなければなりませんでしたし,日本人が外国に住んでいた場合で日本に子供を連れて行った場合でも,その外国人は子供を取り戻す法的手段が事実上ありませんでした。
ハーグ条約締結後は日本でもこの条約を実施するために,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」というものを成立して,このような連れ去りがあった場合には,関係国と連携して調査の上,引渡しに応じることとなっています。

親権・監護権の重要性

ハーグ条約というのは,子供を守ることを第一としています。ここで重要になってくる基準が,子供の「常居所地国」がどこであるかということです。「常居所地国」とは,社会生活を行う上で現実に通常居住していた国のことで,簡単に言うならば,子供がそれまで暮らしていた国ということです。日本人の国籍を持っていても,生まれてから日本に住んでいなければ,日本は常居所地国にはなりません。例えば外国で結婚して子供を育てていた日本人女性が,離婚して,どうしても子供と一緒に日本に住みたいと思っても,連れて帰れない場合も発生するということです。たとえ一方の親と一緒でも,言葉も通じない,環境もまったくことなる別の国に突然連れていくというのは,子供にとって大きな負担になると考えられるからです。
なので,親権や監護権をどちらが持つかを離婚のときにしっかりと決めることが子供の将来にとってとても重要なことです。日本の民法では親権者が子供の居住地や生活のあり方を決定することが出来ます。
例えば離婚を急ぐとか,慰謝料の問題を早く解決したいがために,親権を相手の言うままに譲ってしまったら,後々取り返しのつかないことになっています。

面会交流の難しさ

子供のいる夫婦が離婚となると,面会交流の頻度や内容について取り決めることになります。それは国際離婚についても同じです。
しかし離婚した相手が親権を持ち,自国に帰ってしまったらどうでしょう。もしくは自分が日本で子供を養育し,相手が外国に住んでいて,相手の所に連れて行く約束をしていたらどうでしょう。
近隣の国ならまだなんとかなるかもしれませんが,飛行機で10時間以上もかかるような遠方の場合,たとえば年に2回は面会交流する(させる)と決めたとしても,時間的にも経済的にも大きな負担になります。そのため,離婚時に取り決めたものの,お互い実現が難しくなってしまうケースも多くあります。

国際離婚を考えたら・・・まずはご相談ください

以上のように,特にお子さんがいる場合,国際離婚は慎重に進める必要があります。
長友国際法律事務所では,国際離婚について数多くのご相談をお受けしております。
日本人の方,外国人の方,男性女性問わず,国際離婚についてお悩みの方がいらっしゃいましたら,まずはご相談ください。
離婚は考えていないけれど,万が一ための知識として話を聞いておきたい,という方ももちろん歓迎です。

お問合わせはこちら

こちらもご参照ください。


 

関連記事

  1. もしもパワハラ被害に遭ってしまったら?
  2. 国際的な家族の問題①国際結婚と子供の国籍
  3. どんな言動がパワハラになる?
PAGE TOP